「スコットランド」といえばマーク、マークといえば「スコットランド」、といった具合にこの曲の名盤とされているもののSHM−CD盤。個人的にも、この曲を最初に聴いたのがこの演奏だったので、思い入れがある。
今回の盤は、ルビジウム・カッティング+SHM−CDの効果で(どちらがより貢献しているかはわからないが)、10年以上前のCDに比べてはるかに音質が改善されている。1960年の録音(『夏の夜の夢』は1957年の録音)とは思えないほどだ。全体的に音にふくらみや広がりが増し、楽器の音がより生々しくなり、強奏部の迫力も増して、かつて聴いたときはどちらかと言えばしみじみとした抒情が印象に残ったのだが、今回の盤で聴くと実際にはもっと熱い演奏だったのだと感じた。
ただ、初めてこの演奏を聴いてからこれまでに他の演奏もいくつか聴いてきた上で、個人的な思い入れを抜きにして評価すると、これがこの値段を払って買う同曲のCDとして最上の演奏であるというのは難しいだろう。全体としてはとても素晴らしいのだが、終楽章のコーダでの最後2分ほどの管と弦のバランスが悪いというか、うまくブレンドされていないというか、金管の音が大きすぎるうえに演奏がいまいちなのが残念。これと同様に大編成オケによるロマンティックでドラマティックな演奏のカラヤン/ベルリン・フィル盤はうまくブレンドされているし、全体的にもこのコンビらしい見事な演奏だ(SHM−CD盤交響曲全集で比較)。また、この曲には端正さとクールなリリシズムを求めるという人には、小編成のアーノンクール/COE盤か、大編成ならアバド/LSO盤が良い。
なお、『夏の夜の夢』抜粋と「フィンガルの洞窟」のカップリングのCDも以前出ていたが、残念ながらこれには「フィンガルの洞窟」は入っていない。しかし、交響曲第3番と『夏の夜の夢』抜粋だけで80分近いので、あきらめるほかない。
Disc1
1.交響曲 第3番 イ短調 作品56≪スコットランド≫ 第1楽章:Andante con moto-Allegro un poco agitato-Assai animato-Andante come
2.交響曲 第3番 イ短調 作品56≪スコットランド≫ 第2楽章:Vivace non troppo-
3.交響曲 第3番 イ短調 作品56≪スコットランド≫ 第3楽章:Adagio-
4.交響曲 第3番 イ短調 作品56≪スコットランド≫ 第4楽章:Allegro Vivacissimo-Allegro maestoso assai
5.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 序曲 作品21
6.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から スケルツォ 作品61の1
7.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から まだら模様のお蛇さん 作品61の3
8.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 間奏曲 作品61の5
9.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 夜想曲 作品61の7
10.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 結婚行進曲 作品61の9
11.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 道化師たちの踊り 作品61の11
12.劇付随音楽≪真夏の夜の夢≫ 作品61から 終曲 作品61の12