カスタマーレビュー
筋を知っていても、引き込まれる映像美 山椒大夫 [DVD] 田中絹代
子供時代、森鴎外の原作の残酷さ振りが読んでて辛くて、途中で投げ出した私。この映画は原作にほぼ忠実で、主人公と母が再会するという一点だけは救いがあるが、その他は圧倒的に残酷な世界が展開されている。人さらいとか強制労働とか、今でもこういう国はいっぱいあるんだよなあ、と思ってしまった。大人になってから見ても、やっぱりキツい話なんだよね。。(個人的にこのストーリーはどうしても残酷すぎて耐えられないので、軟弱な私は星1つ減点。)溝口監督とカメラマンの作る映像美が凄まじくて、こんな子供でも知ってるストーリーでも、セットのゴージャスさ、映像の美しさ、編集のテンポ、キャストの熱演などのおかげで、普通に一級の映画としてのめり込んで見れてしまいます。
なお、溝口監督自身のキツい性格については色々と伝説があります。また、本作品では彼の思想からではなく海外進出戦略として民主主義的ヒューマニズム・メッセージが選択されたのではないかという指摘もありますが、そういうサイド・ストーリーが邪魔したとしても、それでも十分この作品は正しく、美しく、そして残酷な作品だと思います。
劇場で一人で見ていて震えが来ました 山椒大夫 [DVD] 田中絹代
助監督の田中徳三さんの言によれば、溝口本人は決して乗り気で創った作品ではなかったようです。 確かに“祇園の姉妹”“残菊物語”“西鶴一代女”という、女の悲哀と気概を描いた一連の作品と比べれば、必ずしも溝口の得意とする世界観を扱った作品とはいえないのかもしれません。 しかしこの時期、まさに創作意欲の絶頂期にあった彼は、予算をたっぷりかけて第一級のスタッフを手足のように使えるという幸運にも恵まれ、“女の悲哀”というやや世俗的な作風をつきぬけて、これこそが日本古典美の真髄なのだーということを西洋人にまで知らしめるような格調の高い作品を造りおおせました。 この作品についてフランソワ・トリュフォーが、何故これと“七人の侍”が(ヴェネチア映画祭で)同点銀賞なのだ? “山椒大夫”のほうが格段にすぐれているーとまで発言したのは有名です。
なんと言っても香川京子さんが入水して果てる場面の宮川一夫さんの水墨画を思わせる画面造り(画面前方の竹には墨を塗っているそうです)や、ラストの厨子王と母親の再会の場面とそこに流れる早坂文雄氏の音楽が絶品です。 この映画を映画館で一度だけ見た私は背中に震えが来てしばらく立ち上がることが出来ないほど感動してしまいました。 DVDでの単品発売、待ちに待っていました。 まだご覧になっていない方、必見ですよ。
最新レビュー 山椒大夫 [DVD] 田中絹代
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