カスタマーレビュー
重苦しさとウィットを兼ね備えたフィルムノワールの快作 飾窓の女 [DVD] エドワード・G・ロビンソン
ドイツ表現主義の巨匠フリッツ・ラング監督のアメリカ時代の一本。当時はやっていた暗いサスペンス仕立てのドラマ形式に忠実な作品ですが、じっくりと落ち着いた語り口や「あぁ?!」と思わず声をたててしまいそうな仰天の顛末などがうまく混ざり合って一筋縄ではいかない面白さを感じさせます。そのあたりが少し変わった趣向を持ったラング監督らしいところ。
ありきたりの生活に行き詰まりを感じている誠実な初老の大学教授にエドワード・G・ロビンソン。怖くいかついギャング役のイメージが彼にはありますが、ここでは知性と落ち着きに富んだ人物を抑えた演技で好演。実はロビンソン、普段は温厚で芸術肌のインテリだったそうで、まさしくこの役は適役。そういえば、ビリー・ワイルダー監督の傑作『深夜の告白』でも機知に富むベテラン保険調査員をいきいきと演じていたことを思い出します。タフガイもいいですが、個人的には落ち着いた演技の素晴らしさにエドワード・G・ロビンソンの名優たる所以があるのだと思います。
『深夜の告白』では犯罪者を追う立場だったロビンソンもこの本編では追われる立場となりますが、そのあたりの描写が相当面白い。「あぁ、なんでそんなこといっちゃうの!」、「そんなつっこみに対して真顔で答えるんじゃない!」なんて思わず手に汗握る展開が待っています。この大学教授、罪は犯してしまっているのですが好感が持てる人物なのでおもわず応援したくなってしまうのです。このあたりラング監督はたいへんうまいですし、善意ある小市民をリアルに演じたロビンソンの名演のおかげといえるでしょう。
ロビンソン扮する教授と運命の出会いをする訳ありの美女にジョーン・ベネット。ジャン・ルノワール監督の『浜辺の女』での彼女とは違い、本編では演技面ではとりたててどうということは無いのですが、あまりの美しさにみとれてしまいます。このキャラクターも悪い女になりきれないので、フィルムノワールの代名詞でもあるファムファタールではありません。そのかわりここでは悪い男、すなわちオムファタールが登場します。このゆすりぐせのある人物に数々のフィルムノワールで印象深いチンピラを演じてきたダン・デュリエが扮し、飄々とした憎らしさをふりまきます。このあたりはキャスティングの妙。
大いにひねったエンディングが公開当時賛否両論だったといいますが、個人的には大満足。どのように満足だったのかはここでは申せませんが、楽しんでいただけると思いますよ。まずはラング監督の絶妙の語り口を、エドワード・G・ロビンソンの素晴らしい腹芸を、ジョーン・ベネットのため息がでるような美しさを、ダン・デュリエのいらいらするような憎らしさをとくとご堪能あれ。
E・G・ロビンソンの適役と巧さに尽きる作品 飾窓の女 [DVD] エドワード・G・ロビンソン
ラストのオチには評価が分かれるところですが、E・G・ロビンソンの適役と巧さに尽きる作品です。堅物な大学教授には教養と知性が感じられ、ふとした心の欲望と不注意から事件に巻き込まれていく辺りの心理描写や緊張感がよくでた佳作。
待望の名作、必見! 飾窓の女 [DVD] エドワード・G・ロビンソン
ラングのアメリカ時代の代表作の一つ。ふとした出来心から、謎めいた美女の住まいに赴いた真面目一徹の主人公が、思わぬことから殺人を犯してしまい、精神的に追いつめられていく過程は迫力満点。どちらかと言えば善良な、普通の人が犯罪に手を染めてしまい、それを隠そうとしてかえって追いつめられていくという主題は、少し前に出た『ブルー・ガーディニア』と同様。不安と絶望に追い立てられ、苦悶する主人公の状況を描くラングの演出は、見事!の一言。人間の愚かさ、弱さをこれでもかと炙り出すラングの辛辣さは、本作でも絶好調である。主人公の表情、仕草、何気ない会話、そして小道具による暗示等、絶妙に計算されたシークエンスが見事なテンポ感で繋がれ、観ている方はぐいぐい引き込まれ、目を離すことができない。主役のE.G.ロビンソンが、繊細この上ない素晴らしい名演! 主人公を恐喝するチンピラのダン・デュリエが、ねちねちと嫌らしい凄みを漂わせる怪演。そして何と言ってもファム・ファタルのジョーン・ベネットがあるいは謎めき、あるいは妖艶に美しく、あるいは覚悟を決めた女の恐ろしさを見事に見せてくれる。セットや小道具のこだわりも含めて、かなり完成度の高い作品。これは必見!
コメディではありません。サスペンスです。 飾窓の女 [DVD] エドワード・G・ロビンソン
本作は,1962年に公開されたフランス映画の同名作品(DVD化されていないと思います。)とは全く内容が異なり,俗に言う飾り窓の女(アムステルダムの娼婦街の女性)は登場しません。
ドラマの構成は犯罪サスペンスで,妻子のある犯罪心理学者のリチャード(エドワード・G・ロビンソン)が,不思議な美女(ジョーン・ベネット)と意気投合し,後ろめたさを感じつつもドキドキしていると,お約束で殺人事件に巻き込まれてしまう,という感じですね。
60年以上も前の作品ですから複雑なトリックシーンがあるわけでもなく,今となっては平凡な展開といえるでしょうが,とんでもないオチが待っています。
そのオチは見てからのお楽しみですが,大ドンデン返しとかじゃなく,“エ〜そんなのアリ?”みたいな感じのオチで,賛否両論あるようです。
因みに私は,こういう形のサスペンス,決して嫌いじゃありません。
それにしてもロビンソン先生,犯罪心理学を専攻しているはずなのに,自分がその立場になると証拠は残しまくるし,検事の前では余計なことを口走るし,なかなか笑わせてくれますね。★一つ差し上げます。そして,ドラマの筋とは関係ありませんが,ジョーン・ベネットは素敵です。
黒のドレスで髪をブルネットと全身は黒で統一されています。コートを脱ぐとこのドレスは上半身が黒のシースルーでインナーが白で,ちょっと見だと全部透けて見えるような感じになっています。このセンスは十分現在でも通用しますね。★一つ差し上げます。
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