カスタマーレビュー
目くらと目あき 按摩と女 [DVD] 徳大寺伸
石井克人監督により本作品がリメイクされるなど、近年清水宏を再評価する動きがちらほらと見受けられる。黒澤や溝口、小津などに比べると、世界はおろか国内においてもその知名度はきわめて低く、かくいう私も清水の作品を見たのは今回がはじめて。スクリーンから撮影現場や役者の緊張感がビシビシと伝わってくる3大巨匠の作品とはちがって、清水の撮る絵はなんともおおらかで、見ているだけで自然と肩の力が抜けて心身ともにリラックスできるのだ。
温泉地を転々とする按摩士トクとフク。目あきを道中歩いて追い抜かすのが快感でたまらないというトクが、馬車に乗って通りすぎた都会からやってきた美女(高峰三枝子)にふと気をひかれる。この、目は見えないものの目あき以上に鋭い按摩士の洞察力がキーワードとなって、ほのぼのとしたユーモアを全体に漂わせながら、ミステリアスな女の素性解明へと展開していく個性的な作品だ。
撮ったら撮りっぱなしで、編集などはすべて人任せだったという清水宏。とにかく役者に演技させることが大嫌いだったらしく、彼の作品の多くが脚本なしで即興的に撮られているという。本作品にも、叔父さん(佐分利信)に連れられたテテなし子が登場するのだが、いかにも近所にいそうなマセガキといった風情で、子供らしい自然なふるまいがアクセントとなって場を和ませている。
そんな平穏な風景が続く中で、連続サイフ盗難事件の犯人探しというミステリーをしのばせてあるので、上映時間の短さ(66分)も手伝って中だるみは感じないのだが、肝心の犯人解明が放置されたままになっているのがいかにも清水流。個人的には足早に帰郷した叔父さんが怪しいと思っているのだが、そんなささいなことはこの映画にとっては大した問題でもないのだろう。むしろ、目くらが目くらとして堂々と自己主張できる、古き良き日本の風通しのよさを実感すべき1本のような気がする。
とても70年前の映画とは思えない、現代に通じる普遍性 按摩と女 [DVD] 徳大寺伸
70年後に山のあなた 徳市の恋として石井克人監督によってカヴァーされることになる、清水宏監督の1938年の作品。「山のあなた」を気に入ったなら、その原作である本作も必ず気に入るだろう。両作品が70年の年月を経て響きあう、稀有な関係に強く惹かれる。今の映画に通じる映画の文法の新鮮さはもちろん、自然光の下でのロケーション撮影の多用が、白黒映画なのに色彩を感じさせる独特の美しい画面に結実している。このDVDの画質・音質は申し分ない。戦後の邦画には録音がうまくなく台詞が明瞭に聴き取れない作品もあるが、本作ではそのような心配は不要である。日本語と英訳で台詞を表示させることも可能。
2作品の主な配役の対応関係は草薙剛−特大寺伸、加瀬亮−日守新一、マイコ−高峰三枝子、堤新一−佐分利信ということになる。カヴァーという制約があっても自ずと明らかな新旧俳優の演技、個性を比較するのが楽しい。本作ではマドンナ役への高峰三枝子のはまりぶり、若き日の佐分利信の姿を観ることができて私は嬉しかった。そして、本作を魅力的にしているのが脚本と美術。見えないが故に見えすぎてしまい、女の姿が見えない目に刻まれることは、たとえ目が自由であってもあり得る、恋は盲目といういつの世にも変わらぬ普遍的な男女の機微を表していないだろうか。そして昔も今も日本人の心を温めてくれる温泉場の情緒。本作は山の中の温泉場を舞台とする、一編の文芸の薫り高い短編小説を読むような幸福感に浸ることのできる素晴らしい作品だ。
面白いです 按摩と女 [DVD] 徳大寺伸
映画「山のあなた」を観て、原作も観てみたくなり購入したのですが、本当にそっくりなんです!70年も前にこんなコメディ映画があったなんて!2作品を並べて見てみたい。面白さが倍増すると思います。
見て驚きました。新しいです。 按摩と女 [DVD] 徳大寺伸
見て驚きました。草g剛さんの新作としてリメイクされていますが、この映画も、決して、古くないのです。
構図が、安定しているし、ストーリーと映像が、渾然としていて、見ていて、幸福感を感じます。また、間の取り方が絶妙なので、話に乗せられてしまいました。ストーリーにはちょっとしたサスペンスもあるのですが、それにしっかり落ちを付けるわけではなく、ちょっと粋です。映画の中ある風というか、雰囲気を感じて、いいなと思える映画です。私は、時折、見たいので、DVDを買った次第です。
古くて新しい、平凡な名前を持つ非凡な映画作家、清水宏、これから私は注目します。
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