カスタマーレビュー
正気と狂気の境界線 アデルの恋の物語 [DVD] イザベル・アジャーニ
イザベル・アジャニーの演技に引き込まれることは確かだが、
今観るとまずこれはストーカー女の映画と思われる。
現在であればストーカーという行為を非難するにしろ擁護するにしろ、
その精神構造というか、ストーカー女の心理を中心にもってくるだろう。
しかし、トリュフォーはもちろんそうはしない。
これは究極の愛の形、
恋に生き、恋愛を映画にし続けるトリュフォーの究極の愛の形、それがアデルなのだ。
映画の終盤で、愛するピンソン中尉に話し掛けられてもアデルは彼を見向きもしない。
愛する彼の顔さえ、認識できなくなってしまっている。
愛を捧げる対象はもはや生身のピンソン中尉ではなくなっている。
しかし彼女は依然として愛に身を捧げている。
それを狂気と言ってしまうことは簡単だが、果たして正気と狂気に明確な境界はあるのだろうか。
恋を前にしてみたとき、こうした区別は無用ではないのだろうか。
この映画は狂気を描いているのではなく、
愛を描いているのだと間違いなくトリュフォーは言うだろう。
アジャーニの言葉・・才能は天真爛漫に扱わないなら、一切無いほうがいい アデルの恋の物語 [DVD] イザベル・アジャーニ
当時、この「アデル・・」を名画座で見たときの衝撃は大きかった。
日本の男ならすぐファンになりそうな、美少女アイドル級の可憐な美しさと
淋しげな目をした主演のアジャーニが、物語の進行につれて、偏執的な奇行を
繰り返してついには自己破滅してしまう狂態に、常識的な恋愛観など吹き飛ばされ、
映画最後の回想シーンで、旅たつ前の決意を述べる若き日のアデルの姿に、
むしろ感銘を受けてしまったからだ。
「若い娘が古い世界を捨て、海を渡って
新しい世界に行くのだ。
恋人に会うために。」
海辺に決然とした表情で立っているアジャーニの表情をカメラはしばらく捉える。
愛に狂奔してしまった女性の見苦しい末路を目撃してきた観客は、ここで一気に
自分自身のことに思い至るのだ。
「こんな愛だってあるだろう、自分はアデルほど激しく生きていない」と・・。
余談1: おそらくこの映画の評判で初めて出たアメリカ映画「ザ・ドライバー」の
パンツファッションは、男装したアデルの姿にヒントを得たのでは・・・ただ
ミスキャストだったとしか思えない。
余談2: アジャーニがただの人気アイドル女優でなかったことはその後の
主演映画の充実ぶりからすぐわかることだが、個人的には「殺意の夏」での
一糸まとわぬ姿の見事なプロポーションには、彼女に対するイメージを
いい意味で壊してくれた。
余談3: 何かのインタビュー記事でアジャニーが語っていた言葉・・・
「才能は天真爛漫に扱わないなら、一切無いほうがいい。」
思えば、アデルにはこの天真爛漫さは皆無だった。
そつなく流れる厚みの足りない恋愛譚 アデルの恋の物語 [DVD] イザベル・アジャーニ
劇中、各場面のドアが開かれることによって物語が展開し、窓越しのショットが美しく使われるあたりにトリュフォー監督の才気を感じます。また、当時19歳であったイザベル・アジャーニー扮する鬼気迫るアデルにも目を見張ります。ストーリー展開も迅速で退屈さを感じさせません。
が、アジャーニーが力演を見せているのにもかかわらず、全体的に演出や編集が淡白でのめり込むまでには至りません。冷ややかな若き将校に対するアデルの狂信的なアプローチも今ひとつ強い説得力に欠け、感情移入するまでには及びません。シーンもさくさくと順調に進みすぎて、感情的な抑揚がじわじわと盛り上がるような“間”が乏しいのが難点。また、最後のアデルの顛末を写真とナレーションだけで急転直下のごとく処理してしまうのも、作品から厚みを奪っている要因の一つ。
わかりやすいナレーションによるそつなく流れるストーリー展開が効果的でありながら、厚みの無さがいささか物足りない恋愛譚というのが率直な感想です。しかし、アジャーニーの初々しい美しさと迫真の演技は見ものです。
恋ひとすじに アデルの恋の物語 [DVD] イザベル・アジャーニ
恋は盲目という言葉がありますが、これは一人の男性を愛し過ぎて心が壊れてしまった女性の物語です。 イザベル・アジャーニの行動が好きという気持ちを離れて彼を振り向かせるためだけに常軌を逸していく様に胸が痛くなります。
ついに愛する中尉が彼女に「アデル!」と呼び掛けた時には、既に彼女には現実の彼の姿は見えていません。彼女の見つめる先には出会った頃の優しい中尉がいて、ひたすら彼に向かって突き進むアデルの一途さが切ない。男性が観たら女性を見る目が変わるかもしれません。でも大好きな映画です。
フランス映画入門編。浸れます。 アデルの恋の物語 [DVD] イザベル・アジャーニ
本当に何度観ても好きな映画のひとつ。
トリュフォーのDVDコレクションを持っているのに、
今回、この作品も買ってしまった。
主人公のイザベル・アジャーニの美しさや演技力はもちろんですが、
私の中では、非常にフランス映画らしいフランス映画(ヘンな言い方ですが…)。
終始漂うマイナー調の空気感も、じんわり浸れる余韻も。
静かで一見質素ともいえる映像からは、派手さや華やかさはない代わりに、
にじみ出てくるような強さがある。
フランス映画の初心者という方は必見といえる作品です。
もっと気軽に楽しみたいという人は、
同じくトリュフォー監督の『恋愛日記』もいいでしょう。
アジャーニに心を奪われた方には『王妃マルゴ』『ポゼッション』をおすすめします。
アジャーニの演じる役で、情熱的に恋に生きる女性が多いのは、
出世作であるこの映画の影響が大きいと言えると思う。
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