エディターレビュー
大学入学のために仙台へ引っ越してきた椎名。新居の片づけをしていると、同じアパートの河崎と名乗る男が声をかけてきた。口ずさんでいたボブ・デュランの曲に興味を持ったらしい。しかし、彼は初対面の椎名に、同じアパートに住むブータン人のドルジという青年に広辞苑を盗んでプレゼントしたいから「本屋を襲わないか?」と誘う。ドルジは河崎の元彼女の琴美と付き合っていたらしい。また買うのではなく盗むのが大切だと奇妙なことを言う河崎。 椎名は逃げ腰だったが河崎の巧みな話術にのり、気づいたら本屋襲撃に加担していた! 伊坂幸太郎の人気小説を映画化。本屋襲撃の裏に隠された、河崎、琴美、ドルジの不思議な友情、かつて彼らの住む街を荒らしていたペット殺し事件のエピソード、これらには巧妙な伏線が張られており、それは原作も同様。ただ原作では映像化不可能なトリックがあり、これをどう映画で描くのかが、原作ファンの興味の焦点だったが、これを中村義洋監督はうまく料理した。見るものに目の前の世界を信じさせる巧妙な演出は絶妙で、役者もよかった。特に主演の瑛太(河崎役)と濱田岳(椎名役)は見事なものだ。読んでから見ても、見てから読んでも味わい深い本作。青春ミステリーの傑作として語り継がれる作品になるだろう。(斎藤香)
カスタマーレビュー
原作の持つ『空気』を映像化した アヒルと鴨のコインロッカー [DVD] 濱田岳
映画は2007年5月12日公開。原作を読まれた方は分かると思うが、時間軸が2年ずれた世界が最後に交わる。この手法もどこかソースコードをインクルードして引っ張ってくるプログラミング手法をぼくには連想させる。変な言い方かもしれないが伊坂幸太郎の小説はプログラム的、もう一歩言い進めるとリバース・エンジニアリング的だと思う。出来上がったプログラムの構造を逆解析しているのに似ている。ということで映像化するのが最も難しい作品のように思えたが、中村義洋監督は見事に映像化に成功したと思う。
なんと言っても評価したいのは作品の持つ『雰囲気』を再現したことだと思う。濱田岳の椎名、関めぐみの琴美もイメージどおりだが、最も難しいドルジを演じた瑛太がすばらしい。随所に原作はいじってあるのだが、伊坂ワールドは壊れていない。会話の妙も生きている。嬉しくなった。
中村義洋監督は『チーム・バチスタの栄光』では散々な出来映えだったが、伊坂作品との相性は良いようだ。2010年に予定されている『ゴールデンスランバー』の映画化も楽しみだ。
なにも考えずに素直に見てほしい。 アヒルと鴨のコインロッカー [DVD] 濱田岳
なにも考えずに素直に見てほしいです。
変に自分の感じているものを疑ったりすることなく、
その時感じるままに見たほうが、
後半に「あぁ〜っ!!」と、思えます。
そして、「私って、どうしてこの人をこんな風に思ったんだろう」と、
改めて思い返し、またさらにぐっときます。
面白かったです。
河崎、本当にいいです。
映画を観ながら原作を読むのが一番、、って無理か。。 アヒルと鴨のコインロッカー [DVD] 濱田岳
伊坂幸太郎の、同名の傑作青春ミステリの小説を映画化した作品。原作の雰囲気をほのかにかもしだしており、いい具合に原作を忘れていることも功を奏してか、なかなか楽しめる作品であった。まぁ、それでも覚えている範囲内でちがうところはあるんだけど、限られた時間の中ではよくやったといえる。
なにがいいって、役者陣がいいのだ。瑛太の、関めぐみの、松田龍平のかっこよさときたら。そして、平成夫婦茶碗であんなにちっちゃかった濱田岳が大学生の役やって、結構はまり役で。なんだか、お兄さんはうれしい気持ちになりましたよ。。
主題歌もちゃんとボブ・ディランだったし(まぁ、ほんとは全編ディランの曲で埋め尽くしてほしかったけど、金銭的な問題もあるのだろうなぁ。大人の事情だらけの、やな世の中になったもんだ)、根本的なテーマである生、性、正もあんまりぶれてなかったし。原作付きの映画としては合格点をあげたい。本も映画もオススメなんだけど、どっちかをみてしまうと、この作品の肝である「からくり」がわかってしまう。なので、よりおもしろい原作を先に読むのがオススメ。もしくは、映画を観ながら原作を読むのが一番、、って無理か。。
映像化不可能と言われた小説の映画化 アヒルと鴨のコインロッカー [DVD] 濱田岳
先に小説を読んでいたので
原作ではミステリーのトリックが小説ならではの表現だったこと、
現在と過去が交互に描かれていたことから
映像化してしまっては元も子もない
つまらないものになってしまうのでは
という危惧があった。
実際見てみて、
現在を主軸として過去の回想シーンが度々入る形式、
重要なトリックもミスリードと回想という
正直予想通りの手法で、意外性は正直なかった。
やはりこの小説を映画化するには、この手法しか無いだろう。
原作との変更点はいくつかある。
だが、基本的にテイストが損なわれておらず
とても好感が持てる。
役者陣も良かった。
濱田岳さんは、私が小説でイメージしたのとは違ったが
三人の物語に巻き込まれ途中参加してしまう
雰囲気が出ていた。
関めぐみさんも当たり役なのではないかと思った。
可愛くてちょっと気の強い雰囲気。
一番すごいのはやはり瑛太さん。
難しい役だと思うのだが、ここまで表現しきるとは。
とても演技力のある俳優さんなのだと再認識。
個人的に驚いたのは、岡田将生さんが
椎名の同級生役で出ていたこと。
伊坂先生の映画化作品、重力ピエロで春を演じる岡田さんである。
ストーリー自体はあまり明るいものではなく
どちらかというと救いの無いものだ。
しかし、強固な意志とセンスのある登場人物たち
ストーリー展開で
どこか救いがあるようにも見える、
後味はけして悪くないミステリー映画に仕上がっていると思う。
最後に分かるタイトルの意味までじっくりと堪能したい作品 アヒルと鴨のコインロッカー [DVD] 濱田岳
大学入学を機に仙台へ引っ越してきた椎名。
神様の声を持つと言われるボブ・デュランの「風に吹かれて」の歌を口ずさみながら、荷物整理をする彼の前に、河崎という隣人が現れ、隣に住むブータン人に広辞苑をプレゼントするため、本屋を襲いたいと言い出す。
突拍子もない導入部分から、
切ない物語の全貌まで、
仙台の春の、柔らかな光の映像とともに
静かに見せる。
一つのトリックが解けたとき、
同じ話が、
全く印象の違う話として、
視聴者の前に繰り広げられ、
トリックの鮮やかさだけでなく、
登場人物の胸のうちが
ヒシヒシと伝わってくる。
若い大学生ならではの
希望、
戸惑い、
勇気
そして、痛み。
ああ、だからコインロッカーね。
と納得する最後まで、ご堪能あれ!
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