カスタマーレビュー
正義の報復など有り得ない ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD] エリック・バナ
某国では上映が禁止されたことでも世界規模で衝撃的だった映画。
ミュンヘンオリンピックでのテロリストへの復讐と良心の葛藤がうまく描かれている。
テロは決して許される行為ではない。そしてテロに対する報復もテロではなく正当な戦争(そもそも戦争に正当性などあるか否か甚だ疑問ではあるが、)を行使しても許される行為ではない。なぜならば人間の憎悪や悲しみを増幅させるだけだからだ。
単に自己犠牲のみによって正当化される行為など、この世には存在しえない。
憎しみは人間という種が特異的に持った感情である。それ故にこの世の中で憎しみをどのように集団でコントロールし、個ではなく種の幸福、繁栄のためになすべきことを模索しないかぎり、所詮、人間は「犬畜生」以下の存在であろう。
最高の娯楽映画 ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD] エリック・バナ
俺はスピルバーグという監督は好きではないし、尊敬もしていない。しかし映画をヒットさせて儲ける才能は凄いわけで、それは立派な事である。だがスピルバーグの映画を語りたいと思うことはほとんどなかった。「シンドラーのリスト」にしたって、技巧的なうまさは関心したが間違っても感動するなんて事はなかった。
この「ミュンヘン」は、個人的にはスピルバーグの最高傑作だと思う。冴えに冴えわたった演出、スタイリッシュな映像、どこをとっても文句のつけようがない。
SMAPの仲居君に激似のマチュー・アマルリックの狡猾さ、そして「パパ」役のマイケル・ロンズデールの不気味な存在感などは見どころ。
政治的な問題を据えた超一級の娯楽映画だ。しかし、政治的な映画では決してない。ス
ピルバーグの映画作家としての本質は、「ジョーズ」も「ET」も「ジュラシック・パーク」も本作もみな同じだ。要するに、人間の本質をえぐりだすような事はないのだ。それゆえにスピルバーグは決して「偉大な映画作家」ではない。
この映画に秘められたユダヤ人の自問−−イスラエルは、本当にユダヤ人の祖国なのか? ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD] エリック・バナ
この映画が描く内容が、何処まで史実に忠実であるかを私は知らない。だが、その点を棚上げして、一つの劇映画として見た私は、打ちのめされる様な感動を受けた。この映画は、パレスチナ人を追ふイスラエルの工作員を主人公とし、その工作員が暗殺すべき敵を追ってヨーロッパ各地を歩く旅を描いて居る。その主人公の旅を見ながら、私は、この工作員が、かつて、彼の先祖であるユダヤ人達が暮らして居たヨーロッパ各地を訪れて、自分の先祖の土地を訪れて居る様な印象を受けた。私は、これが、スピルバーグが描こうとしたテーマではないかと思ふ。即ち、この映画の主人公は、「祖国」である筈のイスラエルを離れ、ヨーロッパの各地を転々とする中で、知らない内に、自分の先祖が暮らして居た場所を歩いて居るのである。そして、そんな主人公の旅を描く中で、スピルバーグは、イスラエルは、果たして、本当にユダヤ人の祖国なのか?と問ひ掛けて居る様に思えるのである。ジョン・ウィリアムスの音楽も素晴らしい。そのジョン・ウィリアムスの音楽が、ニューヨークの風景に重なりながら終はるこの映画のエンディングは、主人公の祖国は、イスラエルではなかったと語って居る様に思へてならない。
(西岡昌紀・内科医)
なかなか考えさせてくれます。 ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD] エリック・バナ
1972年ミュンヘンオリンピックでの実話に基づく実話?なのかな??仕返しはしたんだろうと思っていましたが。このような結末であったとは。多分、事実のような気がしております。イデオロギー云々はちょっとど幸せな日本人が論評するのは失礼と思うので敢えて避けます。報復の仕掛け(爆弾を仕掛けるとか)の細部の模写が念入りに作られていて、さすがスピルバーグと変な感心をしてしまった。シンドラーのリストの時より「イスラエル側」でなく、このような状況に対する人としての苦悩が描かれていたのが、気に入らない人も多かったのでしょう。パレスチナ・イスラエル問題はほんまにどうなるのやら?解決する日が来るのでしょうか??
不毛全書 ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD] エリック・バナ
70年代の陰謀ものやギャングものを想起させる、映像の乾いた質感や、徹底的に見せることから逃げなかった虐殺シーン。善悪の構図など当然見えるわけがなく、敵と味方は互いが似たもの同士であることを知りながらも、その正義の距離は残酷なまでに遠い。
スピルバーグらしい意匠を駆使し、シリアスでも揺るぎなくエンタテインメントに徹する姿勢は貫かれているものの、『ミュンヘン』に派手さは感じられず、観客には淡々と「不毛」だけが蓄積されていく。そしてそれは、一行が暗殺組織として成熟すればするほど、激しく迫っても来るのです。
それはラストシーンにも強く感じることができます。ここでは流浪の民ユダヤ人であり、アメリカ人でもあるスピルバーグの「家族≠国家」観が色濃く出ているような気がします。
何故中東問題が不毛かと言えば、互いの動機が似ていることにお互い気付いていながらも、殺し合うことを止められないことでしょう。そしてそれは愛国心へ自然な接続をします。
でもスピルバーグは国家を切り離すことで、家族こそが、帰るべき国家たれ、と投げかけている。互いに国家を切り離して、相手やその家族を思いやることで、分かり合えないか、ともとれました。ガンジーが生きていた時代から今の世界情勢に至るまで、そんなこと夢物語なのは分かっていつつも。
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