ともすれば、サロン風の優雅さ・上品さで語られる気味のあるフォーレの歌曲が、中身のみっしり詰まった、ずっしりとした存在感のある芸術であることを実感させる演奏です。シュトゥッツマンはプーランク歌曲集の「愛の小道」の情感のうねるような表現に感動して以来、いつも気になっていた歌手でしたが、フォーレの歌曲の代表的なものが取り上げられているこのアルバムで、改めてフォーレに惚れ直させてもらいました。コントラルトの深々とした響きがフォーレの歌曲の世界における、詩と音楽の結合の見事さを感じさせてくれます。ピアノのコラールの実にきめの細かい表現も聴きもので、「イスファハーンのばら」のかおりの豊かさには感服しました。アメリンクやスゼーの素晴らしさにはまったく異論はありません。しかし、ボストリッジがシュライヤーやフィッシャー=ディスカウとはずいぶん違ったシューベルトを聴かせてくれたように、こうしたフォーレを聴く喜びもまた格別かと思います。
もともとフォーレが好きで某メゾソプラノの歌曲集を購入。曲は気に入ったものの声があまり好みではなくて、他を検索していたときに見つけたアルバム。これで初めてシュトゥッツマンを知ったのですが、他の作品も聞いてみたいと思いました。耳障りの良いコントラルト(アルト)の低音と、安定した歌唱で聞きやすいです。
Disc1
1.蝶と花 Op.1-1
2.五月 Op.1-2
3.漁師の歌(哀歌) Op.4-1
4.リディア Op.4-2
5.愛の夢 Op.5-2
6.悲しみ Op.6-2
7.夢のあとで Op.7-1
8.河のほとりで Op.8-1
9.ネル Op.18-1
10.秋 Op.18-3
11.「ある一日の詩」 Op.21 第1曲:出会い
12.「ある一日の詩」 Op.21 第2曲:永久に
13.「ある一日の詩」 Op.21 第3曲:別れ
14.ゆりかご Op.23-1
15.われらの愛 Op.23-2
16.秘密 Op.23-3
17.あけぼの Op.39-1
18.イスファハーンのばら Op.39-4
19.夜曲 Op.43-2
20.月の光 Op.46-2
21.憂鬱 Op.51-3
22.5つの歌曲集 「ヴェネツィア」 Op.58 第1曲:マンドリン
23.5つの歌曲集 「ヴェネツィア」 Op.58 第2曲:ひそやかに
24.5つの歌曲集 「ヴェネツィア」 Op.58 第3曲:グリーン
25.5つの歌曲集 「ヴェネツィア」 Op.58 第4曲:クリメーヌに
26.5つの歌曲集 「ヴェネツィア」 Op.58 第5曲:恍惚
27.牢獄 Op.83-1
28.夕暮 Op.83-2