カスタマーレビュー
高齢化社会を迎えた現代に蘇る、必見の今村監督代表作 楢山節考 [DVD] 緒形拳
やっと、個人的回顧・日本人監督再考が今村監督まできました。
この作品については、最初に観たときは、私もまだ若く、日本固有の因習・文化を特化して映画化し成功した作品だと思いました。しかし今では、日本社会全体が「姥捨て山」状態で、今観てこそ真価が判断できる作品だと考え、再度観ました。
個人的にも、私からみれば典型的な古い日本人であった我が母が、私が日本に帰国して以来、数年前から、現代日本社会を頑なに拒絶して拒食症になり、原因不明の死を遂げました。私は、今となっては、母は自らの意志で映画と同様に彼女なりの方法で「楢山節考」を完結させたのだと考えます。私自身は、全く納得してはいませんが。
私自身もこのまま日本にいると、自営業の何の保証も無い身である故、全うな介護も受けられずまともな老人ホームにも入れずで、母と同じ道を辿るような気がしてなりません。
今村監督について語れば、彼は、すごくパワフルな庶民感覚に勝った演出家であり、小津・黒澤両監督とは異なる道を歩んだ人だと評価します。その彼の才能が、最良の形で発揮されたのがこの作品です。彼なりに押さえた、ストイックな表現をした作品としてです。正直に言うと、他の作品は「こてこて・ごちゃごちゃ」していて、ちよっと私はついて行けない。私にとってはあくまでも「表現が濃い」だけの話で、監督としての力量・評価とは別物。単に様式美云々あるいは好みの問題です。
で、休日だというのに、なんだか自分の人生が重くなり、またうっかり別の作品「イントゥ・ザ・ワイルド」byショーン・ペンを観てしまい、さらに重くなりました。
若くして、現代社会を拒絶して死に至った青年の話を観てしまい、Oh!My GOD!!です。
異なる国と異なる世代を主題にした監督達のメッセージですが、なんとなく私には「共通項」があるような気がしてなりません。なぜなら、私も既に若くはなく、「個人的な老い」、そして「現代社会」特に「大衆消費社会」と闘っているからです。
人も、やっぱり、生き物 楢山節考 [DVD] 緒形拳
もし日本が一本だけ映画を残さなければならないことになったら、どの映画を選ぶべきだろうか。
単純に映画史としてみるならば、恐らくは黒沢明の『七人の侍』か『羅生門』だろう(もちろん自分も黒沢映画は大好きです。この2作なんかは本当にすばらしい!)。
しかし、日本人として、さらにいえば人間として、僕は是非とも、この、今村昌平監督の『楢山節考』を選びたい。
生まれ、遊び、食べて、交わって、そして死ぬ。 間に挟まれたシーンの動物と同様、僕らは紛れもなく地面を這い回る生き物なのだ。 それなのに、必死に生きるために培った理性、嘘、掟のために、 他の生き物とは違って、怯え、泣いて、そして笑っておかしく人は生きていく。
全てがヴァーチャルで囲まれて生きている実感が得にくい現代社会。 映画も所詮ヴァーチャルだけれども、それを気が付かせてくれるだけでもこの作品の貢献は大きい。 これぞ表現、これぞ作品だ。 よくある文句で恐縮だが、こんな時代だからこそ。
そして、あまりにも乱用されすぎて薄っぺらな言葉になってしまったが、本当に泣けた。 特に、ラストの老婆とその息子の言葉の無いやりとり。 よくいう『泣ける映画』のほとんどは、本当に薄っぺらでワザとらしくてウザくて、自分の逆鱗に触れることが多いが、 この映画のそのシーンはついに僕の涙腺に触れた。
本当にこの映画に出会えて嬉しかった!
エグイ!汚い!でもそれが現実だった!という前近代の因習のお話 楢山節考 [DVD] 緒形拳
今村昌平がこの映画で描くのは近代以前の、ヒューマニズム勃興以前の雪ふかい山奥のある村落の家族の話。
たいていの人は冒頭の田んぼの水子のシーンでひいてしまうのではないか。
しかし、この映画がみせる性や死は何も、当時例外的に起こった暴力や悲劇、残酷物語ではない。それは当時の村落の日常であり、ごく当たり前に繰り返されていたとされる因習なのである。
残虐的に見えるそれらは、当時の村落にとってはいたって当たり前な「落とし前のつけかた」だったのではないだろうか。共同体の成員のうちの、誰かを削らないと村落自体の存亡が危うくなるという状況下で、労働力にならない「老い先短い老人」や「まだ生まれていない赤子」、「村の規則を守らない者」というリスクファクターを「リストラクチャリング」すること。それが当時の村落における当然のエコノミーだったのではないだろうか。もちろんそこには緒方が演じたように、情緒的な思いとどまりはあったのだろうけど。
それにしても、前近代においては日常的であっても、それを現代の俳優がまさに泥にまみれて演じることは別物。
特に女優陣はみな、かなり身を削っている。
『楢山節考』2人の監督作品比較 所感 楢山節考 [DVD] 緒形拳
深沢七郎の原作本を元に、今村昌平監督作品と木下惠介監督作品とが存在しています。但し、この2作品はかなり監督の狙い等が異なり心象が大きく異なりますので、ぜひ両作品を比べて見て頂きたいとも思いますし、またそれだけの価値もあろうかと思います。ここでは、敢えて片方しか見ないであろう方へのご参考になれば、、と思い、所感を記載してみました。●人間の本性・業・性(さが・せい)、過去の貧しい凄惨な農村の実態を本音で見つめたい場合&考えたい場合;⇒何と言っても今村昌平監督作品となります。当時の貧しすぎる奥深い農村は、余りにもリアルであり、緒形拳、坂本スミ子らの演技も光る!!但し、時に性(せい)を少々これでもか的に、あるいは少し動物・昆虫に置き換えコミカルに描き過ぎているのが悔やまれる。ところで、本の原作に感動して、親が子供と一緒に この今村昌平監督作品を見たりすると、大慌てするシーンが続出しますので要注意!これは大人が見る作品と割り切るほうが良いでしょう。逆に、子供に当り障りの無い作品として見せたい場合は、木下惠介監督となります。但し、先に本の原作を読ませておかないと、木下惠介監督はイマイチ深い理解が得られないような気もします。木下惠介監督は、はっきり言ってとてもマイルドなのです。歌舞伎的な流れの中で、背景画像も幻想的で、柔らかい御伽噺的な形、いつも根底に流れるエグイものには触れないでおこうとする優しさ(?)、、。最後に近いシーンで、同じ村のせがれが親を谷に落とした後、原本には無い、せがれも谷に落とされる一種の勧善懲悪的な付加内容には少々苦笑してしまいましたが、、。書いているうちに、今村昌平監督作品の良さの方が目立つ記載になってしまった感がありますが、ご参考にしてください。
最高峰の日本映画 楢山節考 [DVD] 緒形拳
83年度カンヌ映画祭でパルムドール作品。
今村監督は「うなぎ」でもカンヌを受賞している正真正銘の本物です。
この作品は部落やサンカと並ぶ古代日本の禁句「姥捨て山」の話です。
現代日本映画の様なウソ臭さはまるでなく、リアルな古代日本が描かれており
演技、台詞、生活背景、ロケ地や小道具、すべてにおいて優秀で、
なおかつ登場人物の心理描写も優れています。
ラスト30分の展開は釘付けですね。
脚本だけで無く、演技や映像美も兼ね備え、
それでいて「観る者を楽しませる」エンターティメン性も兼ね備える、
黒澤・溝口・小津らと並べても何ら遜色の無い素晴らしい映画です
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