エディターレビュー
神楽坂の老舗料亭「坂下」で修行する板前の卵・一平(二宮和也)は、元芸者の母に育てられた青年。母は決して父親が誰であるか教えないが、一平は知りたくて仕方がない。規則正しいが忙しい毎日を過ごす一平の身辺が最近は慌ただしくなってきた。新入りの板前見習いの時夫と同居を余儀なくされ、また店のスポンサーでもある政界の大物が倒れたという知らせが入った。そんな中、一平は、リンゴを落としたフランス語を話す美女に一目惚れをする…。 一平がまだ顔の知らない父親に自分の日常を手紙に綴る、それがナレーションとなって、神楽坂のひとつの料亭を取りまく人々の悲喜こもごもの日々がユーモラスに語られる、倉本聰脚本によるホームドラマ。ドラマ『優しい時間』で好演した二宮和也の演技力に惚れ込んだ倉本が二宮のために書いたというこのドラマは、彼の代表作のひとつに数えられる名作『前略おふくろ様』を彷彿させる。ていねいに描かれたディテール、演技派の役者たちがじっくりと見せる人間関係は、懐かしさと温かさで見るものを包み込んでくれる。家族、恋人、友人、いろんな人間関係の中に少々のスパイスをきかせながら、その中にぬくもりを感じさせる安心して見ていられるドラマだ。二宮のほか、梅宮辰夫、八千草薫、岸本加代子、高橋克美、高島礼子、黒木メイサが出演。(斎藤 香)
カスタマーレビュー
何にも残らない。 拝啓、父上様 DVD-BOX 二宮和也
何一つ心に響いてこない。 北の国からもハッキリ言って大したドラマではないのだが、このドラマは何よりキャラクターが生き生きしていない。役者がただ単に与えられて役をなぞっているだけ。 演出も何の工夫も無く放り出す様に描いており作品を作り上げるという行為自体を放棄しているとしか思えない。 倉本聰は現場で脚本の台詞を一言一句変える事を許さないというのは有名だがそれによって登場人物が作品の中で生きずくことを拒否しているとしたら本末転倒ではないか? ディレクターも演者もさぞ不自由だったのではないかと推察する。 台詞にこだわる事と作品を大事にすることは全く別問題。 前略おふくろ様が如何に傑作だったかと言う事。
癒し 拝啓、父上様 DVD-BOX 二宮和也
DVDを観て癒され、神楽坂に2回も泊ってしまいました。
下町の風情 拝啓、父上様 DVD-BOX 二宮和也
近代化が進んでいく中で最近のドラマも
風情を感じられる作品が少なくなってきました。
この作品は大好きな倉本さんの脚本で、
倉本さんが二宮さんありきで作り上げたドラマ。
二宮さんの昭和っぽい顔(嫌味ではないです。いい意味で)
黒木さんの不思議な雰囲気、
すべてがマッチしていてとても心が温かくなりました。
個人的には高橋さんの演技もとても好きでした
珠玉の一篇 拝啓、父上様 DVD-BOX 二宮和也
丁寧に丁寧に作られたドラマ。あざとい展開は一切無く、平凡に見える日常の淡々とした流れを時折きらりと光る切り口で綴っていく。
圧巻はやはり八千草薫と森光子のガチンコ勝負か。言葉遣いから着物の着付けまできっちり描き分けられた二人の女。愛らしく頼りなげで世間知らずにさえ見えるほうが玄人で、しゃっきりと強く自己抑制のきいたほうが素人なのが面白い。が、かわいい愛人が実は風にしなう葦のように頸い精神を持ち、しっかりした未亡人が実は今にも折れそうな心をプライドで支えていることもふと感じさせてしまう。ドラマとはこういうシーンのためにこそあるのではないか。
そして主演の二宮和也の演技は素晴らしい。こぼれ落ちそうな細やかな感情の襞を全部掬い上げたかのような表情。感動は細部にこそ宿ることを本能的に知っているのだろう。
私が好きなのは周囲の大人たちがいつも彼を信頼し、いろんなこと・・・運転手、家出人探し、現金盗み出しまで・・・を頼むことだ。この素直で優しい青年が温かく見守られ、愛されていることを微塵も疑わせない。
そしていくつか絡み合って進行した問題は結局どれも明らかな解が示されないまま、ドラマは静かに終わる。現実の生活の中でも「きっぱりカタがつく」問題など滅多にないのと同じように。
二宮君にはまた是非こういう上質な作品で演技をみせてもらいたいと思う。やっつけ仕事で才能をすり減らさないうちに、そして20代前半にしかない輝きを一つでも多く映像に残しておいてほしい。
「自然な」演技 拝啓、父上様 DVD-BOX 二宮和也
倉本聰脚本なので観た。 このドラマで一番良いのは脚本ではなく女優陣。 特に岸本加世子と高島礼子が素晴らしく、「自然な」演技がどういうものかよく分かる。演技という極めて「不自然な」事をやりながらその「不自然」を全く感じさせない。 岸本は料亭坂下の事を気にし心配し、変える事の出来ない坂下の未来に対し苛立ち何とか現実的に解決しようと奮闘。この一時も心休まる暇もない焦燥感が見事。 高島は元売れっ子芸妓に相応しい美しさと艶っぽさ。単なる美人女優でないのを気付いたのは『結婚できない男』でだが、今回も素晴らしい。ほろ酔いになり息子二宮和也をからかい甘える場面では、酩酊感と息子への愛情に舌を巻いた。
八千草薫は30年前の『前略おふくろ様』で見せた愛嬌を今回も演じた。八千草の年齢を考えると、男の目から見た可愛さを未だに演じられるのは感嘆以外何物でもない。
問題は黒木メイサ。現在放送中の『風のガーデン』では合格の出来だが、このドラマではもう一歩の演技。謎を秘めた美女役に相応しい風貌だけに観る側としては要求が高くなる。 和服には着付けが重要と言えば分かるだろう。同じ美人役の高島と黒木の差は大きいとは思えない。些細な事迄出来るか出来ないかの違いだけかもしれない。だがその結果の違いは大きい。
二宮和也は『優しい時間』では特に印象の残る役者ではなかったが、今回は役者として成長したのがよく分かる。イーストウッドのおかげか? 板前7年目の設定通りの落ち着き振りが良く、板場での振る舞いも迷いや無駄が無くそれなりに板前に見える。 また母からの愛情が「有難迷惑」になる時の表情も良い。
ドラマ自体もいいが神楽坂の路地が美しい。 佳作。
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