去年発行の雑誌「CREA12月号」の別冊付録で、BYJが黒の帽子を手にし、凛とした斜め横顔のモノクロ写真が表紙を飾った。あの表紙を飾った黒のシャツ姿で、色々なポーズを取るBYJがこのCDジャケット&中味写真として使用されている。CDに収められたBYJ選択の曲は、プロの指揮者から見て「マニアックな選択」らしいが、耳に馴染みある「アルルの女」や個人的に好きな曲の「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲」なども収められており、満足出来た。12曲しか入っていないのが物足りなく感じてしまうぐらい、何度も聴けるCD。何より、BYJの曲に対するエッセイがとても素晴らしい。俳優という仕事柄、心が疲れやすい時間を過ごしているのではなかろうかといつも心配する。しかし、このエッセイを読むと、音楽を上手に自身に取り入れて生活しているようだ。改めて彼の魅力を知ってしまった。「天はニ物を与えず」というが、どうやら「天はニ物を与えてしまった」ようだ。彼と同じ曲を聴いていると思うだけで満足である。
このCDには、HEROとは別に「34」というタイトルがついています。ヨンジュンさんが34歳、そして、このCDには、作曲家が34歳のときにかいた、あるいは着想された作品が選んであるとか・・・彼が心の声で語りかけてくれるために音楽を選んでくれた、彼の心の世界に招き入れてくれている、そんなCDです。天才の作品、ドイツグラモフォンを音源とする世界に名だたる演奏の数々。レスリー・キー氏撮影の写真もとっても素敵です。そして、心奪われるのは、一つ一つの曲についての彼のエッセイです。感情を昇華させた一つ一つの文章に、彼が俳優という「表現者」として年月を過ごしてきた人であることを改めて知ることになります。彼が選んだ音楽とエッセイで「今のヨンジュンさん」を感じることができます。さらに、これまでクラシックにあまりなじみがなかった方には、素敵な音楽案内となるでしょう。わたしは、買ったばかりのCDを聴きながら、擦り切れてしまうのが怖くて、もう一枚購入しようかと思い始めています。
Disc1
1.リヒャルト・シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》より 『英雄』 / ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2.ワーグナー:歌劇《ローエングリン》より 第1幕への前奏曲 / カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
3.ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》変ホ長調作品55より 第1楽章(抜粋) / カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
4.ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調作品27より 第3楽章(抜粋) / ロリン・マゼール指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
5.モーツァルト:歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》より 『恋人の優しい息吹は』 / ジェイムズ・レヴァイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ハンス・ペーター・ブロホヴィツ(テノール)
6.ビゼー:《アルルの女》第1組曲より 前奏曲 / チョン・ミョンフン指揮 パリ・バスティーユ管弦楽団
7.ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58より 第2楽章 / ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)
8.ドヴォルザーク:弦楽セレナードホ長調作品22より 第2楽章 / チョン・ミョンフン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
9.チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23より 第1楽章(抜粋) / ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウィーン交響楽団 スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
10.モーツァルト:弦楽五重奏曲第5番ニ長調K.593より 第3楽章 / アマデウス弦楽四重奏団 セシル・アロノヴィッツ(ヴィオラ)
11.マーラー:交響曲第2番ハ短調《復活》より 第4楽章『原光-おお、くれないの小さなバラよ!』 / ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団 ノーマ・プロクター(アルト)12 ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》変ホ長調作品55より 第4楽章(抜粋) / カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団