エディターレビュー
『lain』などで知られる安倍吉俊の同人誌『オールドホームの灰羽達』を原作に、自身が脚本・シリーズ構成を手がけた、人でもなければ天使でもない“灰羽”と呼ばれる飛べない灰色の羽と光の輪っかを備えた少女たちを描いた全13話のファンタジーTVアニメーション・シリーズをDVD-BOX化。ヒロインは生まれたばかりの灰羽ラッカ(広橋涼)。彼女は灰羽たちが住むグリの街のオールドホームに迎え入れられ、そこで穏やかな日々を過ごす。不思議な世界観とセピア調の映像、そして繊細に綴られる少女たちの心。精神性を重んじた内容なだけに、一見静かで重く、そして悲しいストーリー展開ながらも、最後まで見終えると温かい気持ちに包まれる。大谷幸の音楽も秀逸だ。監督は原画マン出身で傑作OVAシリーズ『Hellsing』も手がけているところともかず。(増當竜也)
カスタマーレビュー
素晴らしい 灰羽連盟 TV-BOX [DVD] 広橋涼
アニメのDVDって高いですよね。ですから私はよっぽど気に入ったものしか買わないことにしてます。今までに買ったことがあるのは攻殻機動隊シリーズのみ。(灰羽が攻殻と似ているというわけではないですよ)
あるきっかけでこのアニメと出会い、ドつぼにはまりました。購入を決めるまでそう長い時間はかかりませんでしたね。
そんで調べてみると、まさかの値段。。この作品がこの値段で買えるのですか。びっくりですよ。
内容に関してですが、おおまかなあらすじは他の方もおっしゃってますので省くとして、、
非常に温かく、そして切ない話です。前半はほのぼのとした灰羽たちの日常が描かれます。オールドホーム(灰羽たちの住処のひとつ)での楽しい生活や街での仕事の様子など。正直この日常が最終話まで続いたなら、私はこのアニメを好きになってはいても、DVDを購入するまでには至らなかったでしょう。素晴らしいのはある出来事をきっかけとして封切られる後半の展開です。灰羽の存在の理由とは、街の意味とは、街を囲む壁の意味とは、灰羽の罪とは。しかしこの後半だけでもダメです。前半部の温かい日常があってこそ際立つ後半部です。最終話はひっさびさに泣きました。普段どれだけ悲しい話でも泣かないんですけど、やられました。
多くの伏線が回収されないので、不満な方もいるでしょうが、すべての伏線ははっきり解答されてはいないものの、理解しようと思えば作中のセリフから自分なりの答えを導き出すことはできます。細かな部分で人それぞれ答えは違うでしょうが。決して放り投げているわけではありません。すべて作中で解決しないとイヤだ!という人ももちろんいるでしょう。好き嫌いがわかれると評価されることもありますが、こういう理由からでしょうか。万人が面白いという作品なんて存在しませんけどね。
このレビューが少しでも参考になれば幸いです。
良くも悪くも、人を選ぶ作品 灰羽連盟 TV-BOX [DVD] 広橋涼
多くの伏線が張り巡らされ、綺麗なつくりになっているので、
第1話で一気に物語に引き込まれます。
しかし、伏線は結局投げっ放しで最終回を迎えます。
「あとは視聴者がご想像ください」どころの話ではなく、
殆どが完全に曖昧なまま放置です。
よって、ストーリーを客観的にレビューできる作品ではありません。
これは、「雰囲気」を楽しむ作品ですから(笑)
忘れられない物語 灰羽連盟 TV-BOX [DVD] 広橋涼
どこか懐かしい街並み、人々が忘れたものが残されているような風景。グリと呼ばれる壁に囲まれたその街には、人間とともに灰羽という翼の生えた人々が暮らしている。過去の一切の記憶を忘れて、繭の中から生まれてくる灰羽たち。ある春の日、繭から灰羽の少女が一人生まれ、ラッカと名づけられる…。
lainのキャラクターデザインで知られる安倍吉俊さんが同人誌に発表した「オールドホームの灰羽達」をアニメ化した作品です。同人誌の内容は1、2話で消化されていますが、その後の全ての脚本を安倍さん自身が手掛け、キャラクター、場面設定等を担当されているので、全編通じて安倍さんの個性が強く打ち出された作品になっています。
ストーリーとしては、グリの街と灰羽の生活をほのぼの描いた前半、灰羽の謎、ラッカとレキの罪と救済が描かれる後半に二分され、雰囲気は大きく異なります。特に後半のストーリーは圧巻で、ここまで深い喪失感と終末感が描かれている作品は珍しいと思います。
アニメの中でも数少ない、文学性を持った作品です。美しい映像と音楽が、物語と寄り添うように溶け合って、確固たる世界観を紡ぎだします。
灰羽やその謎に関する説明は少なく、多くは視聴者の想像に委ねられます。決してすべてにおいて丁寧な作品ではないように思います。前半から後半への展開は急ですし、ラッカとクウの関わりも、もっと時間を割く必要があったと思います。
しかし、それらを上回る感動が最終回にはあります。ラッカとレキというふたりの少女の物語は、荒削りな面もありましたが、本物だけが持つ輝きを秘めた傑作だと思います。
救済の物語 灰羽連盟 TV-BOX [DVD] 広橋涼
視聴を終えた後、温かい気持ちに包まれた。
地味ではあるが心の奥に深く、優しく染み入る物語だと思う。
派手な展開は極力控えられ、あくまで感情の機微の描写に重点を置き静かに繊細に展開するストーリーは、感動的なシーンを装飾で固めクローズ・アップし、ともすれば安く見られてしまいがちな昨今の「感動系作品」とはまた違う印象を受けた。
主人公である少女ラッカは、姿は人間であるが背中に白い羽を持つ「灰羽」という存在として、以前の記憶を失い、灰羽と人間の共存する「グリの街」という小世界に生まれ落ちる。その世界は壁に囲まれており、「巣立ちの日」が来るまで外に出ることは決してできない。
その閉鎖された世界の中でラッカは、他の灰羽であるレキや仲間たちに囲まれ優しさに満たされた生活を送り、殻に閉じこもり孤独に苛まれていた昔の自分を克服していく。
そして、そこから「救い」の物語が始まる。
ストーリーについての明言は避けるが、人は他者から認知される、つまり、必要とされることに依って自分という存在の持つ意味を確立するのだ。という事が物語を通して伝わってきた気がする。
間違いなく名作という範疇に入る作品。是非視聴して頂きたい。
生と死の狭間で少女たちが願うこと 灰羽連盟 TV-BOX [DVD] 広橋涼
実は「死」と隣合わせだったりする、思春期特有の葛藤と危なっかしさを童話世界の様な温和な雰囲気をモチーフに見事に表現しています。
精神的病や劣等感、万能感からの挫折、孤独と愛など、人が大人になるにあたって課題となるテーマが芸術的に描かれており、
ちょっと哲学的な気分にさせるのもこの作品が人気たる所以でしょう。
もし幼少期に死を選んだ子供たちが、実際にこの作品の舞台ような場所で愛と自己価値感を得て再生できるなら、素晴らしいなと思ってしまいます。
「灰色の羽」や「越えられない壁とグリの街」といった様々な隠喩を深読みする楽しさもあるけれど、
そんなに斜に構えずとも、作りこまれた世界観や登場人物の魅力に素直にはまるだけでも十分楽しめる、とても完成度の高い内容です。
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