カスタマーレビュー
これが少女の運命 害虫 スペシャル・エディション [DVD] 宮崎あおい
無意識のうちに、周りを蝕んでいく。害虫。
劇中に出てくるベタのように
少女は一人でしか生きられない。
少女とは常に孤独なものなのだ。
孤独ではなくなったときが、少女ではなくなる時なのかもしれない。
無口で不器用な少女と
それを取り巻く悲しみ。
「かわいそう」という親友の何気ない一言。
無垢と残酷。
胸が押しつぶされるようなラストも
美しい。
宮崎あおい主演作で最高傑作と推したい。
この作品は彼女にしかできなかったし
彼女でなくてはならなかった。
主人公の少女にあまり色気は無いが、
その存在は無意識のうちに周囲の男たちを誘う
魔性を潜めている。
宮崎あおいは圧倒的な存在感で、
その無謀な設定をも納得させてしまった。
対照的な優等生を演じる蒼井優や、
禁じられた想いを隠し、贖罪に逃避する悩める教師に田辺誠一という
すばらしいキャスティング。
W・あおいに注目! 害虫 スペシャル・エディション [DVD] 宮崎あおい
W・あおい(宮崎あおい&蒼井優)をはじめ、そうそうたる俳優陣(田辺誠一、伊勢谷友介、寺島進、石丸謙二郎、光石研、木下ほうか、中村久美・・・)がカメオ出演していることに注目したい。特に、まだこんなにブレイクする前のWあおいの初々しい表情や演技を拝むだけでも(彼女たちのファンにとっては)稀少価値のある1本。
説明的なパートや会話を極力省いて、主人公・北サチ子(宮崎あおい)の心の声をテロップで挿入しながら、短いシーンをリズムよくつないだ編集は、確かになかなか斬新だ。しかし、かわいい顔をしているが故に、クラスのみんなからはいじめられ、悪い男たちの興味をつい引いてしまうあおいちゃん、いや北サチ子を十分に描けていたかどうかは疑問である。
まるでプロモーション・ビデオのようなイメージ・シーンの数珠つなぎだけでは、美少女のファム・ファタール性を浮き彫りにするには不十分だったような気がするのだ。普通に歩いているだけで、周囲(同性からは嫌悪&異性からは好奇)の視線を集めてしまう女性というのは確実に存在するらしい。本人の意識するしないに関わらず周囲を破滅に導く“運命の女”に、死ぬ前に一度でいいからお目にかかってみたいものだ。
思春期特有の儚さ、脆さを描いた秀作 害虫 スペシャル・エディション [DVD] 宮崎あおい
とにかく撮り方が凝ってるな、と思いました。
それが主人公のサチ子の精神状態とリンクしている。
冒頭から膝から下のショットがやたらと多い。
が、それはサチ子の置かれている精神状態とも重なってゆく。
そして徐々に彼女の笑顔がみられるようになってから、
カメラも上半身や顔の高さまで映し出される。
それでも、本当に主人公の年齢設定を13歳、としたのが絶妙。
高校生でもなく、小学生でもない、
微妙な年齢を、表情と画面だけで切り取ったこの作品は素晴らしいと思います。
もちろん、それは宮崎あおいの演技によるところが大きい。
なんと言ってもラストですれ違いをみせつけることが、この映画のもっとも重要なところだったのでしょう。
十代の人生の過酷さを暗示しているようで、とても切なくなります。
決して明るい気分になる映画ではありませんが、
映画としては素晴らしいと思います。
映画女優の映画 害虫 スペシャル・エディション [DVD] 宮崎あおい
宮崎あおいは本作で、2001年度ナント三大陸映画祭主演女優賞を受賞している。
このときの大賞は、アフガニスタンからの難民の少年を主人公とする、イランのアボルファズル・ジャリリ監督「少年と砂漠のカフェ」。
両者に共通するのは、現代社会の矛盾に曝された年端もいかない少年少女が、良識あるとはいえない手段を用いてでも生き抜こうとする物語であること。
そうして、カメラがその様子をこの上もなく簡潔なスタイルで捉えていること。
とくに「害虫」のカメラのまなざしは、冷酷ともいえるほどで、
彼女のまわりにまとわりつく中年オヤジのみならず、彼女そのものまで害虫のように、冷徹に捉えられる。装飾的なBGMも殆どない。
心ならずも周りを破滅させ、みずからも堕ちていく少女の物語であるこの映画に、テーマ、スタイルとも最も近いのは、女の子を主人公とした青春映画などではなく(そのようなものを期待すれば、まちがいなく不快な気持ちになる)、ロベール・ブレッソンの「少女ムシェット」であろう。
ただし、ムシェットは周囲の無理解のなか、絶望して最後には自殺する。たいして本作の宮崎あおいは、それが堕ちていくことであろうとも、生き抜こうとする。
本作の、劇場公開時のパンフレットに映画監督黒沢清がエッセイを寄せている。そこで黒沢は、溝口「西鶴一代女」の田中絹代、フェリーニ「カビリアの夜 完全版」のジュリエッタ・マシーナに匹敵する、堕ちようとも生き抜こうとする女性の輝きを、宮崎あおいに認めていた。
たしかに、ラストシーン、前方を見据える彼女の横顔は圧倒的な存在感で、観客をも置き去りにして前進していく。とすれば宮崎あおいは、溝口「浪華悲歌」ラストの山田五十鈴にも匹敵しうる横顔の女優、といえるのかもしれない。
宮崎あおいと蒼井優 害虫 スペシャル・エディション [DVD] 宮崎あおい
本作の評価は難しい。ひとりの少女が「堕ちていく」過程を追ったものとすれば、ちょっと現実乖離しているし、事実メイキングで宮崎あおいが「撮影は楽しいがよくわからない内容」といっていることからも、主演がわからないものを観客がわかるか、という感じである。それにしてもまだ2001年当時の宮崎あおいと蒼井優の若いこと!いや、今でも十分若いのだが、キャピキャピ感(死語?)がまったく違う。この当時から「やっぱりあの2人は違うと思っていたよ」などと思えるような「らしさ」はまだない。宮崎あおいは初主演映画だが、まだ「やらされている感」が強い。演技をしている宮崎あおいに凄味はない。やはり役に同化してこそ価値がある。脇役の蒼井優のほうが光っていた。体育館でバトンを回すシーンなどは少し失敗しつつ演じており、片鱗は感じさせる。でも、本作で消えても誰も気に留めなかったかもしれない。この2人が日本映画を牽引する女優になろうとは、誰が想像しただろうか。映画の出来は及第点、くらいだが、2人を観るだけでも価値はある。
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