ジャクリーン・ビセットの単独主演作なので、全編彼女が出ずっぱりなのが嬉しいです。平凡な生活を嫌い、人とは違う特別なものを求めて、男から男へ彷徨う主人公を熱演しています。田舎娘が、家出同然で恋人がいるロスに向うが・・・。ラスベガスのショーガールの生活、黒人フットボールの元スターとの結婚と夫の死、麻薬への逃避などを経て、高級コールガール、安手の娼婦、刑務所へと転落していく。ただ全ては、自分に特別なものがあるという勘違い。ホテルのオーナーがぐさりと言う一言「君には才能はない。美人で胸が大きいだけ。」に尽きるのかも。さすがにビセットが綺麗なだけに、安ホテルで客をとる姿には哀れを誘われます。ただ、最後に刑務所入りするはめになる犯罪は、妙に明るくアメリカ映画らしい大らかさが感じられて、救われた気持ちになる。黒人スター、ジム・ブラウンの扱いなど当時のブラックパワーとまだ露骨に残る差別が70年代の空気を感じさせます。今の目で観ると、主人公の行動には共感できないかもしれないけど、平凡な生活を嫌い、アウトサイダー的な生活や放浪に憧れる感じは懐かしく嫌いではないです。
ビセットのセクシーなショーガール姿(ちょこっとだけですが・・・)などの見所もあるこのDVDですが、画質が酷いです。色にじみ、画面にキズ、コマが飛んだり、どこで拾ってきたマスターを使っているのやら。500円くらいの廉価版ならともかく、普通の価格で販売するならもっとちゃんとしたマスターを使って欲しいです。本作はTHE GRASSHOPPER の原題がよく知られていて(PASSIONというのも見たことがある)輸入版VHSのワイド版を持っていますが(こちらは普通の画質)、このDVDはテレビサイズにトリミングされています。このマスターではIN THE PASSING OF EVIL のタイトルになっています(しかもタイトルが出るときに画面が暗転する)。作品としては若いビセットの女優としての魅力もあって星3つとしたいところですが、画質の悪さがいかんともし難く星1つとしました。