ジュリーニの演奏は重厚で、レクイエムらしい真摯なものです。テンポは通常より遅く、フォーレの指示に近い速さなのでしょうか。感覚的には相当遅い表記がなされていますので。合唱にはレガート唱法を要求しているので緊張感が持続することもあり、荘厳な感じがより伝わってきます。ジュリーニが残した声楽曲の演奏が常に高い評価を得ているのは、厳粛な雰囲気が全編に漂っているのを受け手がしっかりと認識できるからでしょう。
「神の子羊」でのquia pius es からRequiem aeternamへの個所は入魂の演奏だと思います。宗教曲らしい荘厳さに包まれていました。
父の死を乗り越え、母の死の翌年、フォーレはこのレクイエムを世に残しました。他の作曲家のレクイエムよりも劇的な箇所は多くないのですが、生きている者の側から見た死者の魂を慰める雰囲気はとても強い曲です。
ソプラノ・ソロのキャスリーン・バトルが歌う「ピエ・イエズ」は理想的な可憐さを秘めていました。ビブラートはあるのですが、気になることもなく、透明感を持った歌唱であり清楚に歌われます。彼女の線の細い声質にあっています。
バリトンのアンドレアス・シュミットは丁寧な歌唱ぶりで美声でした。「リベラ・メ」での永遠の死から解放を希求する歌唱から受ける、決然とした表現は評価できます。フィルハーモニア合唱団の圧倒的な量感ある歌唱も合唱好きとしては気にいっています。
「イン・パラディスム」の冒頭の天使の歌声を表現する歌唱も静謐で厳かな演奏からスタートし、包み込むような慈愛に満ちた感覚が伝わってきました。
カップリングの小澤征爾指揮、ボストン交響楽団による「劇音楽 ペレアスとメリザンド」と、「パヴァーヌ」もフォーレらしい敬虔な演奏だったと思います。
Disc1
1.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための 入祭唱とキリエ(合唱)
2.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための 奉献唱(バリトン、合唱)
3.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための 聖なるかな(合唱)
4.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための ああ、イエズスよ(ソプラノ)
5.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための 神の小羊(合唱)
6.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための われを許し給え(バリトン、合唱)
7.レクィエム 作品48-ソプラノ、バリトン、合唱、オーケストラとオルガンのための 楽園にて(合唱)
8.劇音楽≪ペレアスとメリザンド≫ 作品80-モーリス・メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』の付随音楽 前奏曲
9.劇音楽≪ペレアスとメリザンド≫ 作品80-モーリス・メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』の付随音楽 糸を紡ぐ女
10.劇音楽≪ペレアスとメリザンド≫ 作品80-モーリス・メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』の付随音楽 メリザンドの歌
11.劇音楽≪ペレアスとメリザンド≫ 作品80-モーリス・メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』の付随音楽 シシリエンヌ
12.劇音楽≪ペレアスとメリザンド≫ 作品80-モーリス・メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』の付随音楽 メリザンドの死
13.パヴァーヌ 作品50(合唱付き管弦楽版)