エディターレビュー
1940年度のピューリツァ賞を受賞した文豪ジョン・スタインベックの同名小説を巨匠ジョン・フォード監督が映画化した社会派ヒューマン・ドラマの力強い傑作。時は1930年代、殺人の罪に問われていた小作人トム・ジョード(ヘンリー・フォンダ)が仮釈放され、4年ぶりに故郷オクラホマへ戻ってきた。しかし、そこで彼が目にしたものは、大凶作によって荒廃した土地と飢えた人民の姿であった。トムは家族とともにカリフォルニアへ赴くが、その途中で祖父母が死に、その新天地でも浮浪者の暴動、ストライキとさまざまな困難が襲いかかっていく…。 資本主義の歪みを突きながらも、その中でもたくましく生き抜こうとする人間の真の力強さ。これぞフォード映画の真骨頂ともいうべき素晴らしき世界である。日本初公開は1963年。アカデミー賞監督・助演女優(ジェーン・ダーウェル)の2部門を受賞。(的田也寸志)
カスタマーレビュー
アメリカ文学の金字塔の見事な映像化 怒りの葡萄 [DVD] ヘンリー・フォンダ
この映画版は、映画自体としては一級の出来とは言え、ローザシャローンの死産、最後に行きずりの男に彼女が乳を与える、という原作のクライマックスが省略されているのは残念だ。だが、時代を考えると、それらを映画で描くこと自体が困難を伴うことだったのだと思う。ヘンリー・フォンダのトムは見事で、さすがの存在感だ。独立自営農民というフロンティアの理想を裏切る形で進んだ、アメリカの産業資本主義を指弾する作品と見られ、原作が発表された当時は、スタインベック自身共産主義者のレッテルを貼られるようこともあったが、大恐慌期のthe other halfを描いた作品の映像化として、この作品も映画史上不滅の輝きを放っている。
民衆は生き続ける 怒りの葡萄 [DVD] ヘンリー・フォンダ
不作、不況の情勢の中で、新天地カリフォルニアを目指して故郷オクラホマを出発した農民一家。仕事にありつけるかどうかわからないし、ありつけても少ない賃金と重労働で、とてもいい条件とはいえない。生きる気力を失くしそうなくらい絶望的な環境が、この物語の舞台です。そんな過酷な暮らしにもめげず、厳しい現実に真っ向から立ち向かう家族たちの姿にたくましさ、力強さを感じました。辛い時は家族で団結し、隣人や友人、時には同じ道を進む見知らぬ人とも手を取り合い、共に生き抜いていこうとする姿が印象的でした。
スタインベックの原作をだいぶ省略しているものの、作品のメッセージは十分に伝わってくるつくりに仕上がっているように思います。白黒の画面からはもうもうと砂埃が今にも立ちこめてきそうで、当時の中西部の雰囲気がよく出ています。ジョン・フォード監督というと真っ先に思い浮かぶのが「西部劇」ですが、逆境の中を生き抜いていこうとする人々の姿を着実に描いた名作だと思います。
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