エディターレビュー
若年性アルツハイマーと聞くと、悲痛なドラマを連想するが、本作は観終わってどこか希望の光を感じさせる。それでいて、病気の現実を真正面からとらえる。この意味で、ひじょうに好感が持てる作品である。渡辺謙が演じる主人公は、50歳を前にして物忘れがどんどんひどくなる。最初に彼が受ける病院の検査から、観る者に同時体験させることで、アルツハイマーの怖さをリアルに実感させていくのだ。もし自分が、あるいは家族や同僚が…と切迫感を高める展開が見事。 これ以前の作品ではトリッキーな演出で賛否もあった堤幸彦監督だが、本作では記憶が曖昧になっていくドラマに、その演出方法がピタリと合っている。この種の映画では、得てして悲劇だけが全面に押し出されがちだが、周囲の人間のさまざまな反応、とくに相手がアルツハイマーであることを利用しようとする人間の悪い部分もさり気なく盛り込み、多面的に考えさせるところが秀逸。木梨憲武、大滝秀治ら脇役の存在感も光っている。クライマックスからラストが、これほど心地よいのはなぜだろう? それは作り手の、人生に対する賛歌が託されているからである。(斉藤博昭)
カスタマーレビュー
記憶こそが人間のアイデンティティーの根幹。その記憶が失われる悲しみ。 明日の記憶 [DVD] 渡辺謙
既に多くの方が立派なレビューを書いているが、久しぶりにDVDで本作を見直してこの作品の素晴しさを再確認した。自己の記憶が失われていく恐怖感、支えていくと決意する妻の愛情と奮闘の日々等がしっかりと描かれた名作だ。現時点でも渡辺謙主演の映画、堤幸彦監督の映画の中でそれぞれ最高傑作と評価できるだろう。主人公が渋谷で迷子になってしまう場面の緊迫感あふれる演出と編集、退職の日の部下との別れや娘の結婚式での感動的なスピーチ等、見所は数え切れない。そして改めて思うのは記憶こそ人間のアイデンティティーを形作ることと、記憶が失われても周囲に記憶している人がいる限りその人は生きているのだということ(ラストの場面が象徴している)。
そこで思い出すのがSF映画「ブレードランナー」である。あの映画ではレプリカントが記憶に固執する。ラストでルドガー・ハウアー演ずるロイが自分の記憶が失われること=死を、諦観をもって迎える場面が感動的だった。本作の切なさとどこか共通していないだろうか。人間は記憶を積み重ねていくことがその存在の本質で、何とかして自己の記憶を残そう、他人の記憶の中で生きていこうとする生物と言えるのではないだろうか。そのような多くの人々の残された記憶の集積が歴史であり、その上に我々は現在生きているのである。私がレビューを書くのも記憶を残したいから、それを伝えたいからだろう。私の拙いレビューを読んでくれる人に感謝したい。
本作を観るたび、人間の理性の根源に思いをめぐらせ、それを破壊する病気の治癒がいつの日か可能になることを願う。
観て良かった、いい映画でした 明日の記憶 [DVD] 渡辺謙
若年性アルツハイマーを患った夫と、その夫を献身的に介護をする妻の物語。
テーマは非常に重いですが、映画そのものはすごく良いです。
百聞は一見にしかず、ぜひ夫婦で鑑賞して下さい。
素直に泣きたい人のために 明日の記憶 [DVD] 渡辺謙
映画館で見ましたが、途中からこれでもかっていうくらい泣かせるシーンが続いて大変でした。娘の結婚式ぼシーン、自分が壊れて行くことを自覚することの怖さ。原作と比べると、過剰な演出ともいえるでしょうが、映画はこんなものでしょう。細かなことは気にせずに、素直に泣くのがよろしいかと思います。ただ、妻はあまりによくできた人ですねぇ。
病気でなお引き立つ夫婦愛 明日の記憶 [DVD] 渡辺謙
主演の渡辺謙さんが、若年性アルツハイマー病と診断される。
それまでは仕事一筋で家庭を省みなかったバリバリの
サラリーマンに突如として人生の転機が訪れたかたちになる。
そのような病気を告知されてもそばに寄り添い、支えることを
誓う、心から優しい妻。
今まで省みてこなかった妻からの愛を受け、アルツハイマー病の
現実をなんとか受け入れて頑張ろうとする夫。
修羅場もいくつかあり、しかし、その裏に見える、夫婦間の本当に
強い心のつながりを感じずにはいられない映画だった。
ずっと貴方の傍にいます 明日の記憶 [DVD] 渡辺謙
「ビシッといこうぜ!ビシッと」
こんな台詞の似合う渡辺謙が,若年性アルツハイマーだと告知されます。
現在の病状は「物忘れ外来」に行ったほうがいいかなと悩み始める頃だと思います。
現実はとてもじゃないが映画のように格好よくいきません。もっともっと悲惨で,たいていの妻は「ずっと貴方のそばにいます」なんて言葉じゃなく,たいていは無言で,この先どうしていこうかと悩み始め,離婚してしまう夫婦も多いそうです。老人性ならば介護は大変でもまだ諦めもつきますが,若年性の場合は進行が早いだけに現実として受け止めにくく,その悲惨さは映画の比ではないと思います。
映画の中での樋口可南子さんは奥さん役としては最高に素晴らしいと思いますが…。
122分という作品の中で,一体何を訴えたかったのか,病気の悲惨さなのか,夫婦愛なのか,だれにでも起きる可能性があるという警鐘なのか,前半の程よいテンポが,勝負所の後半では,違和感のある流れになって,捕らえどころのない作品になってしまいました。
私の個人的な意見では,家族がもう一人増えるということを背景に“夫婦愛”“家族愛”という視点で集中させた方が,病気に対する理解も深まったと思います。
最新レビュー 明日の記憶 [DVD] 渡辺謙
明日の記憶 [DVD]を買った人はこんな商品も買っています
関連ページ
|