エディターレビュー
1972年、民俗学を専攻している大学院生の里美(藤澤恵麻)は、幼い頃東北の親戚に預けられたとき、一緒に遊んでいた少年と共に神隠しに遭い、その記憶がなかった。失われた記憶を求めて、彼女はかつて隠れキリシタンの里でもあった村へ赴き、そこで異端の考古学者・稗田礼二郎(阿部寛)と出会う…。 諸星大二郎の傑作コミック『生命の木』を原作に、『ワイルドフラワーズ』の小松隆志監督が執念の映画化。設定を現代に置き換えず原作どおりにするなど、こだわりが諸所に感じられる力作となっており、原作のおどろどろしさを映像に還元することに腐心しているのが痛いほどにわかる。主人公を男性から女性に代えたのは映画用の措置だが、藤沢恵麻のはかない感じはこの歴史ミステリの哀しみとも巧まずして呼応していていい。一方、妖怪ハンターこと稗田役の阿部寛は原作のイメージに違わない風貌なだけに、髪型なども原作どおりでよかったかも。(増當竜也)
カスタマーレビュー
じわじわくる 奇談 プレミアム・エディション [DVD] 藤澤恵麻
主人公の女性が今では見ないような清純な人なのがいいですねぇ。
全体に流れる雰囲気が良くて、たまに見たくなって何度も見直しました。
一番コワイのはハナレで昔撮影されたという8ミリ映像に映っていた
信徒たちの鬼気迫る姿でしょうか。あの不気味さは例えようが無いです。
おしい! 奇談 プレミアム・エディション [DVD] 藤澤恵麻
暗黒神話をジャンプの連載時に読んでからの、諸星ファンとしては楽しみにしていた作品です。まず、全体として、諸星作品のカット割りを良く研究してあります。ヒロインの人選とヒロインの上目使いの表情の撮り方や、集落の遠景など、地味な撮り方は諸星漫画の派手さのない表現が良く生きていて、感心しました。長髪でなくメガネの稗田教授も不思議と違和感がありませんでした。他の諸星作品を良く研究してプロットを組み立て、短編を映画化したのは理解できますが、最後の安直なな文明批評は、諸星作品とは似て非なるもので、全体をぶちこわしにしています。また、いたずらに悲劇性を強めるプロットも必要ありません。
映画としては、ストーリーで最も大切な「世界始の咎の教え」の出し方が、不適切です。これでは、原作を知らないと何がなんだか分からないと思います。非常にユニークなこの「伝奇的神話」をくり返し観客にしみこませるような演出をすべきだったと思います。インヘルノの表現もCGに頼りすぎです。諸星漫画のあのコマであれだけ表現できるのですかが、カット割りやクローズアップなどで「一部を見せながら全体を感じさせる」様にすべきと感じました。
でも良く映画化したな〜と感心しまして、評価としては中間的なところにします。
もう一つの「生命の木」 奇談 プレミアム・エディション [DVD] 藤澤恵麻
約30年前の漫画であり、映画化はさまざまな批判を呼んだ作品である。
長髪でない稗田礼二郎。神隠しから帰ってきた娘。映画オリジナルの設定はあるが、
監督の諸星ファンがよく表れていると思う。一度見た後の、監督のオーディオコメ
ンタリーは思いが伝わる。音楽は川井憲次氏であり「暗黒神話」を思い出す。
諸星ファンとしてみると完壁ではないが、諸星大二郎の映画化を完璧にするのは所
詮無理があり、そう思ってみると、こんなものだろう。
また、思った以上に藤澤恵麻に目がいってしまうように、阿部寛ほか多くの俳優の
演技が光る。最後の”善次”には思わず振り返る自分がいる。
現代稀に見る純正和製ホラー 奇談 プレミアム・エディション [DVD] 藤澤恵麻
この作品のモチーフとしてはキリスト教なのだが、演出、背景などで近頃見れなくなってしまった正統派和製ホラーな部分を見ることが出来る。
最近の和製ホラー作品は、年々欧米化の一途をたどりより直接的かつ衝撃的なものになりがちであるが、この作品では和製ホラーの特徴でもある「暗さ」「宗教性」「じわじわと迫り来る恐怖」がしっかりと表現されており、この数年に於いては最も純正な和製ホラーだと思う。
また神秘性にも富んでおり、決して最近主流の「怖がらせる為だけの作品」にはなっていない。そして藤澤恵麻, 阿部寛などのの演技もなかなかだ。
製作者たちに感謝、 奇談 プレミアム・エディション [DVD] 藤澤恵麻
原作となった「生命の木」は31ページの短編です、デビュー数年でほかの誰でもない諸星大二郎にのみ描く事が可能と評しても誰も反論できない水準に達していた事にいまさらながら驚きますが、再読してみれば80年代以降の作品ほどの語り口の上手さは感じず、やはり初期ならではのごつごつした印象を受けます、神隠しというエピソードを加えたとはいえよくぞ90分の映画に脚色し、娯楽映画の枠内で充分に原作を知らない観客へも訴えることが可能な佳作に作ったとおもいます、
残念なのがやはりクライマックスの洞窟、原作ではゴシック建築風の巨大空間だったのだが本作ではただの空間、ジュスヘル・イエスの昇天シーンにおける照明の単調さとともに本来ならばあり得るはずのない厳かさに包まれた圧倒的なシーンとなったのに、とおもう、これは原作とともに長い年月を生きた諸星ファンほど自身の想像力の中の興奮が巨大化しているのでしょうがないといえばしょうがない事ではあります、
原作にあって本作で省略したのが「ケルビンの骨」、聖書の新解釈物語としての流れをスムーズにするためと思われるが、「異生物」キャラは決して見てはいけない・決して知ってはならないという諸星作品共通のテーマであり、諸星マンガのホラー度水準が他作家のそれとは違う地平にあるという重要な要素、もし映画パート2があるのならぜひ取り上げてほしいとおもう、
登場人物の中でもっとも「はなれ」を差別するのがカトリック信者たちという設定には妙に納得させられる、人気ホラー作家スティーブン・キングの諸作品はすべてキリスト教の価値観の中で書かれているとおもう、対して諸星作品はキリスト教(だけに限らずその他全ての歴史や宗教の要素をも)を実にわかりやすく相対化して戯画化できる点が作品に深みをもたらしていると考える、
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