カスタマーレビュー
良くも悪くも社会派ドラマ ミッシング [DVD] ジャック・レモン
この事件に無知な状態で見たら、全く面白くなかった。事件について調べて概容を頭に入れて見たら、とても面白かった。
日本語字幕ではだいぶ台詞が省略されてるので、吹替えが大いに役立つ。そういう意味でDVD向きの作品です。英語字幕などでニュアンスを再確認とか、分かりにくいところを何度も見るとか、色々できるしね。
主演のレモン&スペイセクは素晴らしいし、他の俳優達もいいのだが、やっぱり映像的に感じさせる物があまり無いので、事件に興味ない人に訴えるものがあるかというと、疑問ですね。
クーデター前の平和な状態と後の状態、保守的な父とリベラルな息子夫婦などの対比が映像的に示されれば良かったのですが、それは無かった。やっぱり言語による情報にかなり依存しないと面白くないので、「映画的」なんて言いそうなシネフィルにはウケが悪いでしょう。
(平和の象徴らしき)白馬を軍が発砲しながら追い回す幻想的なシーンも単体では美しいけど、作品全体の中で見ると、「こんなことやる暇があるなら、もっと本題を映像的に分かりやすく表現してくれよ」と思ってしまった。
DVD時代が来て、はじめて大きな価値をもつ作品という気もする。値段も安価なので購入する意義は大いにある。ネットでもこの事件について調べられるしね。
国益とは?人権とは? ミッシング [DVD] ジャック・レモン
1970年代のチリでクーデターがあったときに、アメリカ人青年数名が行方不明(missing)になった実話をもとにした映画です(http://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Horman)。重大な事実を、ふつうの一般市民の視点から描くことで、かえって観る者に、事の重大さを悟らせる、そんな映画です。
国益とは何か、個人の人権とは何か、国際協力の限界とは何か、独裁政権とは何か、軍事クーデターとは何か、アメリカの帝国主義とは何か、等々に興味のある人にとって、得るものがあると思います。また、この映画は、家族や恋人同士の人間関係も手抜きをせずにしっかり描いているので、ただの政治モノを超えた深い味わいがあり、観た後に深い余韻が残ります。
― 中南米は1990年代に、ひととき平穏な時代がありましたが、いま再びベネズエラ、ボリビアを中心に反米ののろしが上がっています。ですから、またアメリカが、この映画の中で語られているような政権転覆工作を中南米諸国に仕掛ける可能性もあります(2002年にベネズエラではその種のクーデターが既に起きました・・・)。そうした意味では、古い題材を扱っていますが、きわめて今日的な意味合いを持った映画でもあるように思います。
権力の暴走を許すのは誰なのか ミッシング [DVD] ジャック・レモン
アメリカ人青年チャーリーは妻ベスと、軍事クーデター直後のチリで暮らしていた。ある日彼は突然軍部に連行され、以来行方不明となってしまう。父親のエドはNYから駆けつけ、ベスと共に必死に息子を探す。しかしその途上で浮かび上がってくるのは、祖国アメリカとチリ軍事政権の共謀する姿で…。
劇場公開直後に見てからおよそ四半世紀。今回DVDで見直しました。さすがコスタ・ガブラス監督ならではの骨太の作品であることを改めて感じます。この映画を含めて「告白」「戒厳令」「ミュージックボックス」「背信の日々」といった作品で監督が繰り返し告発するのは、本来は大衆の安寧を担保するのが使命であるはずの権力や体制が、人々を蹂躙する存在として容易に暴走し、暴力装置と化してしまう姿です。
しかしコスタ・ガブラス監督は、そうした暴力的体制を私たちに対峙する存在として無邪気に糾弾するだけでは終わらせません。体制が暴力化することを許すのは、あなたや私である。自分ではない誰か少数の犠牲が、自分を含めた多数の利益を下支えしている、そのことを心のどこかであなたや私が容認していないと、本当に言い切れるのか。そのことを監督は告発しているのです。
映画「ミッシング」では敬虔なクリスチャンである父親のエドは、反体制的で左翼的な息子やその妻ベスを快く思っていませんでした。もし息子が行方知れずにならなければ、彼にとってチリの軍事政権の所業は米国大使館員が言うように、アメリカの国益にかなったこととして済ませることができたはずです。
しかしこの映画でエドは何かを学び、そのことによって成長する存在として描かれています。秀でた映画とは、主人公が物語の過程で成長を遂げる映画のことであると言います。(リンダ・シーガー著「アカデミー賞を獲る脚本術」フィルムアート社)彼の姿を通して、あなたや私も成長を遂げる映画、「ミッシング」はそんな一本です。
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