1960年の松竹映画。中村登監督は後に名作「紀ノ川」を演出する名監督。原作自体も恋愛小説調ではあったがここまで女性映画を意識されると推理モノを期待する場合肩透かしを喰わされる。むしろ最初からそのイメージで見たほうが良いかもしれない。そういう目で見ると出演の女優陣の演技を楽しむ見方も出来る。実際、助演の桑野みゆきはこの1960年の大島渚監督の「日本の夜と霧」に出ていることであるし、小津映画の常連高橋とよも料亭の女将で出てくるし・・・、松竹だから当たり前かもしれないが結構今見ると面白い。日本映画全盛期だけに豪華である。武満徹が音楽を担当、これも豪華。一見の価値はある。
1960(昭和35)年作品、原作は松本清張、小説の雑誌連載が1959年から1960年というから連載中から既に映画化が進行していたと思われる、清張の流行作家としての全盛期、50年代から70年代までのすべてほぼ30年間全盛期と評価してもいいのだが、であり、映画化が相次いでいた時期でもある、したがって小説も映画も出来不出来は様様であることは指摘するまでもない、
本策はいわゆるサスペンス・メロ・ドラマ、映画としての面白みはほどほどのものである、中村登の端正な演出と美しい撮影は楽しめるが必ずしも脚色が成功したとはいいきれない、娯楽映画とすれば出来の良いテレビの2時間サスペンス劇場に劣るとおもう、有馬稲子のファン、まだ顔がつるつるの若き二枚目津川雅彦を見たいファン、評者のような桑野みゆきのファンにはそれなりの娯楽は提供してくれる、
内容以上に本作と原作小説を有名にし、戦後の文化風俗の歴史に名を残す結果をなっているのが有名なラスト・シーン、自殺するために富士の樹海にはいっていく場面である(本作では有馬稲子)、この後、現在に至るまで樹海を名所にしてしまった罪作りな作品でもある、もっとも清張は以前にも小説・映画を通じて能登金剛をやはり名所にしてしまっていたのだが、