マーク・ロマネックについて、仕事を共にしたアーティストたちは「細部にこだわる人」、「厳しい要求を出す人」と述べている。にもかかわらず、音楽業界のトップ・スターたちは、この精力的な監督との仕事を熱望してきた。なぜなら、ロマネックが自分を輝かせてくれることを彼らは知っているからだ。マドンナ(「Rain」)しかり、ノー・ダウト(「Hella Good」)しかりである。グラミー賞の受賞経験も持つロマネックは、世界でもっとも名高い――それに、悪名高い――ビデオのいくつかを監督した。革新性で選ぶなら、レニー・クラヴィッツの胸躍る「Are You Gonna Go My Way」がある。クラヴィッツというミュージシャンを一躍スターにした作品だ。物議をかもし出したという点では、フィオナ・アップルの挑発的な「Criminal」、ナイン・インチ・ネイルズの不気味な「Closer」、ジェイ・Zの終末観に満ちた「99 Problems」だろう(後の2作はディレクターズ・カット版となっている)。もうひとつ傑出した作品を挙げるなら、ジョニー・キャッシュの悲痛な「Hurt」である。これはもはやプロモーション・ビデオの枠を超え、伝説的シンガーに捧げる哀歌と言っていいほどの出来だ。俳優ロビン・ウィリアムズとのインタビューが収録されているのはいいが、ロマネックの手がけた劇場用映画『ストーカー』と『天国からの中継』がこの作品集から抜け落ちているのは残念。(Kathleen C. Fennessy, Amazon.com)