エディターレビュー
人生の落とし穴にはまらぬようにと極めて用心深く生きてきた男が、一人の女との出会いをきっかけにこれまで築き上げてきたそのすべてを狂わされていく顛末を描いた異色のサイコミステリー。警備会社に勤める安藤衛(稲垣吾郎)は大きな商談に向かう電車の中で、喪服姿の女性から痴漢に間違えられて警察に連行されてしまう。同僚である久保明(佐々木蔵之介)の忠告通りに、上司の島谷(伊武雅刀)やその娘で婚約目前の有紀(岡本綾)に対しても嘘のいいわけをして事無く終えた衛は、電車で落としてしまった携帯電話を拾い主から返してもらうために待ち合わせ場所へと向かう。するとそこに現れたのは、衛を痴漢扱いした喪服姿の女性・美沙(長谷川京子)その人だった。 人は知らないうちに誰かを傷つけているのかもしれない、との反芻される問いに心当たりを探し始めるならば、ひたすらに転落していくこの主人公の受難も次第に他人事と片付けることは難しくなってくるだろう。衛に対して悪夢のような経験を負わせるために、これでもかと執念深く復讐心を燃やす美沙を演じる長谷川京子の神出鬼没なファムファタルぶりは、このドラマ最大の見どころの一つ。主人公がむしろ慎重でない男にしか見えなかったり、ご都合主義的な展開が頻発したりもするが、衛に対する美沙の恨みが明らかになっていく悲劇の物語が、更なる遥か彼方の過去に起こった因縁までもあぶりだしていく後半の畳み掛けにはなかなか迫力がある。 (麻生結一)
カスタマーレビュー
絶望の果てに行き着く先は・・・ Mの悲劇 DVD-BOX 稲垣吾郎
自分を崖から突き落とした人間がその後も何事もなかったかのように生きていたと知ったとき、
穏やかでいられるだろうか。そんな過去さえもなかったことにされてしまうことに耐えられるか。
自分が陰惨な現実を引き受けざるをえなくなっても、相手に罪の意識すら窺えなかったとしたら。
過去に置き去りにされた人間は、「忘れさせまい」という思いに抑えがたく駆られるのではないか。
主人公ミサは独りで背負いきれない十字架を、事のきっかけを作った男にも背負わせようとする。
失われた記憶を甦らせ、苦しみや無念さをわからせることに、せめてもの慰撫を求めようとする。
些細な出来事から二度と立ち直れない深い痛手を負ってしまう者もいる。誰もが加害者になりうる。
過去しかなくなった者は後ろ向きに生きるほかない。それはどこにも続いていない道である。
人を恨むことによってしか生きられなくなった人間の哀しみを描きたいという製作者の想いが伝わる。
希望があるから人はいい人でいられるのだ。ミサが教会に入ってゆく場面がそれを暗示している。
ミサは孤児院での屈託のない心の触れ合いに回帰することで癒されそこに居場所を見出してゆくが、
恨みに憑かれた人間は己を滅し全体に帰依することによってしか救われる途はないのかもしれない。
長谷川京子はかつて税務署ポスターの満面の笑顔が愛する人のそれとよく似ていて好きになった。
リアリティ云々するのならドラマなど見なくていい。物語、そして演戯は、真実を照らしだす為にある。
そしてコール・ポーター畢生の名曲「Night and Day」がドラマの真意を一層際立たせることになった。
私は再放送で見たが、重苦しいメッセージが痛々しいまでに腑に落ち、涙せずにはいられなかった。
あきれる程のトンデモドラマ Mの悲劇 DVD-BOX 稲垣吾郎
岡本綾観たさに毎週観ていました。 とにかく信じがたい程主演の稲垣吾郎の芝居が下手でビックリしました。動きが変しゃべり方が変。これが日本を代表するトップアイドルの実力かと愕然としました。 ドラマの内容自体もリアリティゼロのトンデモっぷりが炸裂したなかなかの怪作でした。
一気に見たくなるドラマです。 Mの悲劇 DVD-BOX 稲垣吾郎
これはなかなか面白いドラマです。
自分のなにげない生き方が、知らず知らず他人にも影響を与えており、
それは時として不幸を生んだり、怨みをかったり…
そのような人間関係の妙を描いた内容
、、ですが、そこはやはりドラマ。
さすがに「有り得ない」までに、
ドラマ内の人間同士が過去で繋がり過ぎています。
それでも、面白い。
これから見る方は、きっと続きが気になってしまうドラマだと思うので、
ぜひ一気に見ちゃってください。
あえて一つ惜しい点は、
主人公の二人の未来のことを、
もう少し最終回で長く見せて欲しかったです。
二人はきっとこれから結ばれるんだと思いますが、
そのシーンまで見たかったというのが、ちょっと残念。
ヒューマンドラマ的サスペンス Mの悲劇 DVD-BOX 稲垣吾郎
普段あまり連ドラにハマらない自分が久しぶりにハマったドラマ
ジェットコースター的サスペンスで救いなき恐怖のどん底に…と思いきや
人間ドラマへと展開していく意外さが良い
サスペンスにありがちなエロやグロが一切ないのに魅せられるストーリー展開は秀逸
ただネタのつもりか否かのツッコミどころは多く
ご都合主義なストーリーを楽しみつつも怒涛の展開に翻弄されると楽しい
キャストがそれぞれの役にハマッててその人なりの魅力が充分に発揮されてる作品だと思う
テーマは、繋がり Mの悲劇 DVD-BOX 稲垣吾郎
自分の家にドロボウが押し入って以来、「自分の身は自分で守る」を座右の銘として生きていた主人公安藤衛が、ふとしたことで、とある女性から付けねらわれてしまうところからはじまる物語。その女性が言っていた「まるで自分の心にかぎをかけているような」という表現が、心に響きました。
どれだけ自分の身を守ることに専念し、完璧な防衛思想を身につけているつもりでも、人は誰かしかに迷惑をかけたり、自分が知らないうちに恨みを買っていたりするのだということを、まざまざと思い知らされる作品。
そして、この女性との一件で、安藤はその背後に潜む事件に立ち向かうことになるのだが、この作品を見ていると、人間というのは全く関係ないはずの人間でも、意外なところでつながっているものだなぁということを実感させられる。過去のことが、全て現在の自分の周囲につながっていくのだ。また、主人公を付けねらっていた女性自身も、復讐心に取り付かれた初めの頃と比べて成長し、変わっていく。そこのところがきちんと描かれていていいと思った。
この作品のテーマは、「人と人との繋がり」ではないだろうか。どれだけ安全思想で自分を守ろうと、有機的に全てがつながっている社会において、完全に安全であり続けることなどありえない。また、他人との繋がりを断ち切ることも出来ないのだ。要するに、「自分だけを守ることのみに固執しても、完全な安全圏など存在し得ないのだから、むしろ周囲との繋がりを大切にしよう」ということなのだろう。それを思い知らされた。
まあ、ドラマの世界なので、確かに登場人物全てが何がしかに絡んでいるから、「世界って、意外と狭いものだなぁ」とか、「都合がよく進みすぎ」という意見もあるけれど、それでも今の世の中に必要な作品だと思った。稲垣五郎氏の演技もはまってましたしね(笑)。
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