年、世界的な有名指揮者を迎えておこなわれる、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート。一種のお祭り的コンサートではありますが、選ばれた指揮者にとっては、耳の肥えた聴衆相手にこのオーケストラの魅力をどれだけ満足に引き出すことができるか、結構緊張する仕事なのではないでしょうか。2002年にはわれら日本の誇る(?)小澤征爾氏もなかなかの奮闘ぶりを見せてくれました。しかし、他の指揮者の方々には申し訳ありませんが、毎年さまざまな指揮者の演奏を聴くにつけても、このクライバーという人の並外れた才能がやはりあらためて身にしみて感じられてしまいます。全体的に早めのテンポながら、きちんと繊細な音色と感情表現を引き出す技や、しばしばほとんど何もしていないように見えながら、ちゃんと自分の思い通りの音楽を紡ぎ出してゆく魔法のような指揮のテクニックは、まさに天才と呼ぶにふさわしいものです。これまで二回ニューイヤーに出演したうちで、特にこの一回目の89年の演奏は素晴らしいの一言につき、一曲目の『加速度円舞曲』の出だしの部分から、背筋が寒くなるような音が流れ出し、ああ、これが本当のウィーンフィルの音なのかなと思わせてくれます。知名度のわりに録音や映像が少ないことで知られるクライバーですが、是非皆さんこのDVDで彼の素晴らしい指揮振りをたっぷり味わってみて、本当のウィーンフィルの音色を堪能してください。
Disc1
1.加速度円舞曲 作品234
2.田舎のポルカ 作品276
3.ワルツ 『わが家で』 作品361
4.ポルカ 『とんぼ』 作品204
5.喜歌劇 『こうもり』 序曲
6.ワルツ 『芸術家の生涯』 作品316
7.ポルカ 『小さい風車』 作品57
8.ポルカ 『ハンガリー万歳』 作品332
9.ポルカ 『クラップフェンの森で』 作品336
10.ワルツ 『春の声』 作品410
11.ピチカート・ポルカ
12.『騎士パスマン』 のチャールダーシュ 作品441
13.ポルカ 『おしゃべりなかわいい口』 作品245
14.ポルカ 『騎士』 作品278
15.ワルツ 『美しく青きドナウ』 作品314
16.ラデツキー行進曲 作品228