この映画を見た後で大島弓子の原作を読んだ人も結構いたんじゃないかと思う。実は私がそうでした。
映画のストーリーは原作とほとんど同じだけれど、主人公の好きな人が佐分利君じゃなくて義理の弟になっていたり、自分を十三歳だと思っていたクレープ屋のおじさんが登場したりしていたりするけれど、なかなか面白く出来上がっている。手の加え方がやたらと巧い! ちなみに、映画の物語の中の季節は夏だったのだけれど、原作での季節は冬でした。
原作の方では、なりす目線で物語が語られている事が多かったけれど、この映画ではなりすと日暮里老人の両方の目線を同じ分等で楽しめるようになっている。その点の他にも、原作より映画の方が優れていたと思う点が幾つかあった。
犬童一心監督が表現しようとした、二人の「純愛」の形が切なくて悲しくて優しく泣けた。映像も、主演の二人の演技も、とても良かった。
もう戻れない世界に残された、優しい夢。
そんなほろ苦さが心地良い作品です。