この舞台は、音楽ととてもマッチしている。演出が素晴らしい!舞台はとても細かく作られていて、考えぬかれていると思う。歌唱の無い管弦だけの部分も、演出でさらに盛りたてられてぐっとくる。音楽も演出も美しい。絵巻のようである。
さらに、キャストも良い。デッシーは、強い一面を持ちながらも繊細で、か弱い面もあるルクヴルールを表現しているように思う。アリア「私は芸術の僕」は絶品である。ラーリンは、愛に一途な若々しい青年らしい。ちょっとたよりなげに見えなくもないが・・。さらに、ボロディナが一番良い!声も容姿も素晴らしく、嫉妬に燃える女性を熱演。とにかくかなりカッコいい。
今舞台で活躍している歌手ばかりで、旬な映像である。
美声、美貌、或いは、歌唱力、演技力。そのいずれかに秀でた歌手は幾人も居よう。しかし、その全てを備え、さらに、香しいまでの気品、実在したルクヴルールは、まさにこの人、と想わされる程のはまり役。それほど、ここでのダニエラ・デッシーは素晴らしい。ミショネ役のカルロ・グェルフィもしかり。
かの大女優、サラ・ベルナールは、ひょいと電話帳だか住所録だかを取り上げて朗読、忽ちに同席者を泣かせたり笑わせたりしたと言われるが、フランスの演技史の伝統は見事にデッシーにも受け継がれている。
私はTVで放送されたものを観て愕然。勿論、録画もしたが、一層綺麗な映像で観たい、クリアな音声で聴きたいと、これを買った。惜しくはありません。
勿論、このDVDを観て聴いて、何度も愕然とする程の感激と哀しみを味わう。そうした繰り返しての鑑賞に耐え得る1枚。オペラの楽しみがここに有る。
未だ観ていない聴いていないなら、是非にとお薦めします。きっと後悔はしないでしょう。
豪華絢爛たる舞台、衣装、そして正当な演出、その中で演じるデッシーのアドリアーナは美しく、歌唱も素晴らしく、まるで実在のアドリアーナのようだった。ボロディナの声は圧倒的で、ラリンのオットセイのような髭を除けば、申し分のない最高のアドリアーナだった。
でも、このような最高のアドリアーナはこれからも見聞きできるだろうが、私にとって忘れられないのが、NHKイタリアオペラ公演のカバリエのアドリアーナである。エレガントで美麗なカバリエの右に出るものはないと思う。カレラスやコッソットも良かった。NHKにお願いしたい。「早く、DVDを出してと・・・。