エディターレビュー
横溝正史原作、市川崑監督、石坂浩二主演による名探偵・金田一耕助シリーズ全5部作の中でも傑作中の傑作。 まさにディスカバー・ジャパンといったテイストでせまる、日本独自のおどろおどろしい風土をもつ鬼首村で起きるなぞの連続殺人事件。それにいどむ金田一の名推理もさながら、彼と事件を担当する磯川警部(若山富三郎)との友情、また村の旅館のおかみリカ(岸恵子)へ寄せる磯川のストイックな愛情など、ただ単に探偵推理映画のおもしろさだけでなく、ここには人間の業や悲しみ、そして愛といったものが見事なまでに凝縮されている。 ラストの金田一の磯川の駅の別れ。その際、ホームの柱に書かれてある言葉にも注目してもらいたい。なお、この作品まで石坂は地毛でボサボサ頭の金田一を演じている。(的田也寸志)
カスタマーレビュー
DVDのジャケットで被害者がわかってしまうので注意 悪魔の手毬唄 [DVD] 石坂浩二
横溝正史の代表作の映画化で2時間23分の長尺ながら長さを感じさせない作品です。名探偵の金田一役の石坂浩二が主演の推理映画となっておりますが、実質上は岸恵子主演の人間ドラマと言ってよいでしょう。上品な役柄の多い岸ですが、この作品では鄙びた旅館のおかみさんで、粗末な格好をして天然ぼけのかわいい二人の子持ちの母親を演じています。こうした役柄にも関わらず、上品で奥ゆかしい美しさが、少しも違和感がなく、若山富三郎扮する警部が淡い恋心を寄せる部分には納得できます。岸はこの作品では、女の悲しみ、母親の苦労など多様な顔を見せ、そのすべてを美しく完璧に演じています。他の俳優陣では、仁科明子と北公次が、なんとも初々しい演技を見せています。原作は推理小説としては、最高傑作に入る長編で、映画にそのすべてを盛り込むのは無理ですから、なぞ解きを楽しみたい方は小説を最初に読まれることをお勧めします。一つ難点を挙げれば、DVDのジャケットが必要以上に残酷で、しかも誰が殺されるのかなどの謎解きのキーポイントがわかってしまう点です。ジャケットは映画を鑑賞後に見ることをお勧めします。映画の中では残酷シーンはほんの数秒しか映りませんし、さほど残酷でもありませんので、小学校高学年からの鑑賞が適当です。
悪魔の数え歌がとても印象的な作品でしたね。 悪魔の手毬唄 [DVD] 石坂浩二
名作、金田一耕助シリーズの中の1本、1977年公開ですから、(獄門島)と同じ年に制作された作品ですね、主演の若き石坂浩二は2枚目ですね、そのとぼけた演技も面白いです、一見、実に気さくで前向きな旅館の女将を演じているのは女優の岸恵子、金田一シリーズに数多く出演されているだけあって、その存在感、美貌はピカイチです、一羽のスズメの言う事にゃ〜、、、という歌がとても印象的で引き込まれました、業や性というものから決して逃れられない人間の物悲しさを痛切に描いてきた名シリーズだけあって、今回も泣かされました、古い和風旅館のセットも味があって、見ているだけでも面白かったですね。
凄惨な犯罪に潜む悲哀 悪魔の手毬唄 [DVD] 石坂浩二
一連の横溝作品が角川映画として上映されていたころ、自分は小学校高学年から中学生くらいの年齢だった。「見てから読むか、読んでから見るか」というコピーで宣伝されていた一連の作品を当時は怖い映画としてしか認識していなかった。
大人になって、横溝作品を何冊か読み、その上でこの映画を見た。因習にとらわれた僻村の人間関係や、男女のどろどろした感情を扱ったものが多い横溝作品だが、この作品は一連の市川監督の横溝作品の中で一番よくできていると思った。凄惨な犯罪、それも若い女性ばかりが狙われて殺され、死体は村に伝わる手鞠歌の歌詞とおり、残酷なさらし物にされる。犯人は計画的に犯行を重ねていくのだが、最後の殺人で大きなミスを犯してしまう。己の罪を知った犯人の苦悩と陰惨な過去、真犯人を知った周りの人の衝撃、そして悲しい最後など、犯罪をめぐる人間の悲哀が描かれていて深く考えさせられた。愛した人からどれほどひどい仕打ちを受けても憎めない人間の弱さ、妬み故に恐ろしい犯罪を重ねてしまう怖さなど、人の心の暗い部分をよく描いていると思った。ラストシーンが少し希望が持てるもので、せめて残された人がよい人生を生きていってくれるとよいと思った。
往年の名優も沢山出演して名演技を披露しており、映像も美しい。他の人も書いていることだが、リメイク不可能な名画ではないかと思う。
「本陣〜」と共に最高傑作! 悪魔の手毬唄 [DVD] 石坂浩二
素晴らしい‥!観終えた後の何とも言えない「切ない」余韻が例え様がない、「市川・金田一」の最高傑作でしょう!横溝作品の映像化では、高林・中尾のATG作品「本陣殺人事件」に迫る完成度だ!横溝作品としての完成度は「本陣〜」の方が上だと思うが、舞台が現代に変更、中尾・金田一がGパン履いてらしくない、犯人探しに問題がある等、脚本は悪くないのに作品の舞台・背景に緻密さに欠け違和感があるが、本作は「古びた村の暗い因習と、因縁深い血縁の業」が美しい日本独特の映像美により、「切ない哀愁」が「凄惨な殺人事件」と素晴らしいコントラストを描いて観る者に迫って来る‥! 岸 恵子は本作を観るまで、あまりパっとしない女優だと思ったけど、ラスト近くの鬼気迫る演技は本当にスゴい!そして磯川警部役の若山富三郎!何と言う存在感!‥静と動を巧み演じ分ける実力は全く恐れ入った!終盤の岸が演じる「リカ」への「切ない想い」が深く迫り感動的だった‥。市川監督の巧みな伏線と(謎解きが全て解明していないのに、仁科が唄を回想するシーンで毬つきの女の子を4人登場させる大胆さ‥!)映像美、そして金田一・磯川警部の別れのシーンの切なさ(金田一の問いかけに、磯川警部が答えずに、背景が代わりに答える巧みさも必見!)そして音楽も素晴らしいの一言に尽きる!謎解き、犯人探しより「人間を描き尽くす」内容も感動的だった!‥日本映画史に残る傑作と言いたい!
金田一映画化シリーズの最高傑作 悪魔の手毬唄 [DVD] 石坂浩二
金田一シリーズの映画化作品の中で、この「悪魔の手鞠唄」は最高傑作である。
映画の冒頭から十数分程度で、鬼首村の複雑な人間関係と登場人物をテンポ良く説明し、まるで焦らすかのように、ようやく出るタイトル。
これで観客は一気に物語に引き込まれ、そしてこのとき流れる切なく物哀しいテーマ曲が、この映画の全てを語っている。
また、金田一が仙人峠を登り始める際に流れるコミカルなBGMが、老婆の登場で一気にトーンが下がり、何とも言えない不気味さを醸し出す演出が素晴らしい。
俳優陣は、他レビュアー絶賛の若山富三郎と岸恵子の存在感と演技はもとより、常連である立花警部・加藤武を始め、村医者・大滝秀治、旧家の奥様・草笛光子と白石加代子、そして三木のり平とその妻・沼田カズ子などは、マネの出来ない味わいを出している。
リメイクできないのは若山富三郎と岸恵子に代わる現代の役者がいないと言うレビュアーに賛同するが、脇役の三木のり平一人あげても代わる役者は皆無であろう。
脚本、演出、キャスト、音楽、全て満足できる金田一映画化シリーズの最高傑作である。
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