金持ちの中年の女性をターゲットにして金を巻き上げ用がなくなれば殺してしまう。もうこの作品に出てくるチャップリンは今までのおどけたピエロではなく恐ろしい殺人鬼である。主人公のアンリは長年勤めていた銀行をリストラされてしまう。しかしアンリには足の不自由な妻と育ち盛りの息子がいる。その二人を養うため、殺人を続けるのだ。今の日本においても決して笑える話ではないが、これは当時のアメリカに対してに強烈なメッセージだったのだ。もちろん批評家はこの作品を認めなかった。チャップリンはこの作品の後アメリカを去る。人を殺すということへの強烈な批判が戦争を終えた後のアメリカには強すぎたのだろう。こうしてみるとチャップリンの作品は権力に対してよく噛み付く。もちろんライムライトのような芸人の生き方としてをありありと見せる作品もあるのだが、常に戦いがある気がする。そのパワーがこれだけの作品を作り出し長くたくさんの人に愛される理由のような気がする。
物語は、チャップリンが、何人もの女性と重婚し、次々と財産を奪ってゆく、という青ひげをモチーフにしたものです。原案を、オーソン・ウエルズが書いています。チャップリンは、軽妙な動きで見るものを画面に誘い込み、最後に、恐らくチャップリン自身が本当に言いたかったことを我々観客に向かって言い放つのです。「一人を殺せば殺人だが、百万人を殺せば英雄になれる」
チャップリンとは、まさに映画の巨人、大衆芸術の神様だと思います。
チャップリンが描いた「戦争」という殺人狂時代への反旗は、50年以上の年月を経た今でも、いささかも古びていないことに驚きますし、この問題に対して無為に過ごしてきた人類の業を感じざるを得ません。喜劇王チャップリンが、辛辣なまでに反戦を訴えるこの作品は、戦争がなくなる日まで反戦を叫び続けることでしょう。それをチャップリンは望んでいたのでしょうか。子供にも大人にも胸に迫るものがあると思います。必見だと思います。