英国人俳優 Ralph Fiennes の出世作。1992年に英国の Anglia Television で放映され、それを見た Steven Spielberg が Fiennes を『シンドラーのリスト』(1993)に抜擢したといういわくつきの作品だ。
その内容はややマニアックである。テーマとなるのは、Peter O'Toole 主演の映画『アラビアのロレンス』で描かれなかった、パリ講和会議における Lawrence の活躍。だが、お役人がホテルの部屋を行ったり来たりしている場面が長く、スリリングな展開で魅せる万人向けの作品とはいえない。見るべきは、ひたすら美しい Fiennes の顔と(時々、はっとするほど Lawrence 本人に似ている)、時折見え隠れする“おたく”的くすぐりだろう。Lawrence が人妻に誘惑される場面はむろんフィクションだが、入浴していて背中に鞭打ち跡があるのを見られてしまったり、フランス首相やアメリカ大統領が居並ぶ前で見事なフランス語を披露する場面は、一応史実に基づいている。
かつて『ロレンス1918』の邦題でビデオが出ていたが、パリ講和会議が開かれたのは1919年なので、『ロレンス1919』が適切。原題の A Dangerous Man は Lawrence の自伝『知恵の七柱』序章からの引用。