エディターレビュー
東京下町の芸者置屋では、表面の華やかさとは裏腹に、それぞれの女たちのせちがらい世界が繰り広げられていた……。 花柳界に生きる女たちの姿を、成瀬巳喜男監督が淡々と、そして冷徹に描いた秀作。原作は幸田文の同名小説。語り部は住み込み女中役の田中絹代で、女将に山田五十鈴、その娘に高峰秀子、芸者役に杉村春子、岡田茉莉子など、さらには日本映画草創期の大スター、栗島すみ子の久々の銀幕復帰と、そうそうたる女優たちの競演ではあるが、そうした白粉の匂い濃厚な女たちの世界観を極めながらも、妙に派手にすることは避け、むしろ抑えた演技で一貫させながらそれぞれの魅力や哀しみ、はかなさなどを巧みに醸し出していくあたりは、やはり成瀬演出の真骨頂ともいえるだろう。(的田也寸志)
カスタマーレビュー
流れる 流れる [DVD] 田中絹代
柳橋の花街はなくなってしまったので、貴重な風俗史料です。杉村春子は感心しませんが。栗島すみ子は着物の着付、言葉、身のこなしなど柳橋の東京芸者のありし日の姿を彷彿とさせます。大変良い映画とおもいます。
感嘆 流れる [DVD] 田中絹代
キャストをみて、そして映像を追いながら
田中絹代、杉村春子、山田五十鈴が同じワンシーンのなかでうごいている
もうそれだけである程度映画をかじっている方なら感動というか、驚愕ものですよね
それに高峰秀子、岡田まりことくるんですから...
成瀬の溢れんばかりの自負、静かな傲慢を感じずにはいられません
こんなキャストで駄作を作るわけにはいかないですよ
ですが完璧なのです
何から何までが...
巨匠の作品とはこういうものだということを痛感しました
忘れられない 流れる [DVD] 田中絹代
なかなか深いと思った。皆さんが書かれている通り、いわゆる「起承転結」が用意されているわけでもなく、
ただただ淡々と時間が過ぎていく――。見終わった後、私もそんな風に感じていましたが、
スグにでもまた見たくなる。映画に求める“良い”とは個々それぞれ違っているでしょうが、
私の場合のそれは会話が飛び交い、出演者が魅力的、そして鑑賞しているそのいっときだけでも他のことを
完全に忘れさせてくれる映画です。この映画はまさにそれらにピタリと当てはまる、素晴らしい作品でした。
いずれも主役級の役者ばかりが揃っていましたが、それぞれの主張や距離感、説明的なセリフや演出の
一切ないといった強弱が絶妙、成瀬監督作品の中でも、特にファンが多いというのも納得できます。
映画としての輝きというか、カリスマ性のような力がものすごく感じられます。そして着物も素晴らしい。
色鮮やかなモノクローム映画 流れる [DVD] 田中絹代
1956年/東宝 (原作・幸田文)
人も時代も、河水の様に流れ移ろうもの。
浮く事もあれば、淀み、沈みもする。
落ち目の芸者置屋・蔦の家(つたのや)に、
女中として身を寄せた未亡人・梨花。
彼女の目を通して花街の悲喜と風俗を覗き見る。
町並や道具もだが、テンポの良い台詞回しが素敵。
特に 染香役の杉村春子さんは秀逸。
しっかり者の女中・梨花(春)=田中絹代
時と金に翻弄される蔦の家主人=山田五十鈴
臨機応変な年増芸妓・染香=杉村春子
勝気で不器用な 主人の娘・勝代=高峰秀子
放埓若手芸妓・なな子=岡田茉莉子
主人の愛猫・ポンコちゃん=???
原作(新潮文庫刊)を読めば、更に深部まで浸れる筈。
華やかな着物の裏に隠れている厭らしさ、
臭さ、汚らしさも併せてお楽しみ頂きたい。
成瀬の本領炸裂映画 流れる [DVD] 田中絹代
これこれ、これですよ。この市井の世界が成瀬の本領・本分です。正に成瀬にしか作れない映画とはこう云う作品を云うのです。
映画全編に通奏低音の様に流れる下町情緒。昔の日本は美しかったのですねぇ。
流れて行く時代に取り残されつつあるのを感じている山田五十鈴が、ラストで杉村春子と奏でる三味線のツイン・リード!姿を消しつつある旧き良き日本に手向けるレクイエムの様に胸に残る。日本人なら必見の映画!!
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