この大河ドラマは、私が今まで見てきた大河ドラマで一番感動したものだった。キャストが素晴しかったこともあるけれども(特に鹿賀丈史さんの大久保翁は素晴しかった!)、この個性のキッツイ時代を生きた人物を、個性バリバリの俳優が演じているところが魅力だったと思う。そして原作の司馬さんが言わんとしていた、「西郷と大久保は時代が変わって天敵になったのではない」といったメッセージが、ちゃんと伝えられていると思います。最後、大久保翁暗殺のシーンは涙なくしては見られません。幕末・明治維新というと、男性ばかりが目立つところがありますが、女性もしっかり描かれていて、好感が持てました。西郷の妻や大久保翁のとても面白い、機転のきく奥方、そして彼女たちの悲しみ。同じ女性として、もし波乱の人生を送る夫を持つことになったら、こんな風に生きれるだろうか、とよく思ったものです。
ドラマ自体は原作「翔ぶが如く」に忠実なわけではなく、他に「竜馬がゆく」なども読まないとわからないところが多いですが、残念なのは総集編ということで、幕末にはよくフォーカスが当っているものの、後の肝心な大久保・西郷の決裂、そして西南戦争あたりが端折られていてものすごく残念でした。このドラマだけはフルでDVDで見たい。今でもそう思っています。
この作品はまさしく幕末から明治維新にかけての「時代」が主役になっています。ちなみに50話近いドラマを個人を主役にして乗り切るのは信長、秀吉、家康クラスでないとつらい。最近の大河がつまらないのは、主役の人生を無理やり1年かけて描こうとするせいだと思っております。(北条時宗や宮本武蔵は半年くらいがちょうど良い)そこで本作ですが、これまでの幕末ものでは何故か 西郷はドンと構えた英雄、大久保は奸智に長けた策士というステレオタイプな設定ばかりでしたが、ここでは坂本竜馬や高杉晋作のように等身大の人物として実に魅力的に描かれてます。(特に鹿賀・大久保は絶品!)この2人が大きな「時代」の流れの中で夢を見、成長し、そして散っていくドラマを、全編だれる事無く見事に見せてくれています。特に後半、明治時代のパートは非常に興味深く鑑賞しました。21世紀大河「坂の上の雲」の予習の為にも是非。