エディターレビュー
1980年代後半にデビュー、個性的なアイドルとして一世を風靡した本田美奈子(1967年、東京・葛飾柴又生まれ)は、もともと挑戦者精神の旺盛なタイプだった。1990年代はミュージカルの舞台で高い評価を得ており、近年はセルフ・プロデュースでも才能を開花させている。その彼女が、ついにクラシックに挑戦したのが本作である。日本語の歌詞を岩谷時子が7曲担当し、クラシックのさまざまな名旋律に歌をのせるという試みを行っている。 日本語の歌詞をのせるということの最大の効果は、歌を自分のものにできるという点にある。これらの名曲たちを、遠いヨーロッパの伝統的な音楽だなどと考えるべきではない。現代に生きる一人の日本人女性が感じていることを、等身大に自由に、歌に込めているところを聴くべきだ。 特におもしろく聴けたのは、箏とフルートとキーボードの伴奏による、フォーレの「シシリエンヌ」。15歳の恋の記憶への、大人の女性の複雑な思いが、フォーレの旋律にはよく似合う。マスネの「タイスの瞑想曲」には本田美奈子自身が平和へのメッセージを込めた自作の詩をつけている。原意を離れて、彼女がこのメロディにそういうインスピレーションを持ったということは興味深い。 アイドル時代の本田美奈子を懐かしく思い出すファンにも、うれしい驚き以上のものを与えてくれる1枚になるだろう。(林田直樹)
カスタマーレビュー
本田美奈子、魂の歌声 AVE MARIA 本田美奈子
本田美奈子さんが38歳の若さで、急性骨髄性白血病で急逝されてから3年が過ぎようとしている。
私はこれまでは、本田美奈子さんのあまり熱心なファンとは言えず、アイドル時代も歌のうまい子だなと思った程度で、ミュージカルやクラシック(クロスオーバー)に取り組んでいるという噂を聞いたときも、“歌うこと”に対する彼女の意欲と熱意に賛嘆しつつも、なかなか聴くチャンスがつかめずに時間が過ぎてしまい、そして悲報に接することになってしまったが、それをきっかけに聴くのも何だか残酷な思いが捨てきれずにまた時間が過ぎてしまった。
最近やっと気持ちを整理して、彼女の遺してくれた作品に接することにしたのだが、このアルバムを聴いて、そのあまりの美しさ、特に清純な高音の驚異的な伸びにしばし言葉を失った。ありきたりの言葉だが、もっと早く聴かなかったことがあまりに悔やまれる。
このアルバムでは、“アヴェ・マリア(Ave Maria)”、“ヴォカリ−ズ(Vocalise)”、“タイスの瞑想曲(Meditation de Thais)”、“アメイジング・グレース(Amazing Grace)”等、本田美奈子さん渾身の珠玉の作品が並んでいるが、中でもサラ・ブライトマンそして最近ではキャサリン・ジェンキンスが取り上げて有名な“私のお父さん(O mio babbino caro)”、“タイム・トゥ・セイ・グッドバイ(Time To Say Goodbye)”、“私を泣かせて下さい(Lascia ch'io pianga)”などが絶品である。サラ・ブライトマンあるいはキャサリン・ジェンキンスなどの歌唱では、西洋人らしく豊かで包み込まれるような表現(それはそれで非常に心地よい)が、この本田美奈子さんの歌では、あくまで日本的な清純な歌声に心を洗われるようで、深い感動に誘われる。本田美奈子さんの歌声は彼女の魂がそのまま歌っているかのようだ。
最高は“ジュピター”(歌曲としての原題は、I Vow To Thee My Country)で、何度聴いてもふと涙ぐんでしまうほど。これほど人に生きる勇気を与えてくれる歌唱というものに、そうたびたび出会えるものではない。
以前、平原綾香さんが震災の被災地でこの曲を歌って話題となったことがあった。ここでのレビューでは、これについての否定的な意見も見られるが、もし本田美奈子さんが元気だったなら、きっと彼女がこの役割を果たしたことだろうし、平原綾香さんがその遺志を継いだと思いたい。そして、もし本田美奈子さんが元気で活躍を続けていたなら、あの“千の風になって”で有名になった詩の“Do Not Stand At My Grave And Weep”(日本の曲ではなくて、イギリス版のほう・・新井満さんごめんなさい)なども、ぜひ彼女に歌ってもらいたかったもののひとつだ。きっと、もっと多くの人の心に生きる勇気を与え続けてくれたことだろう。
つくづく、惜しい人を失ったものだと思うが、彼女が遺してくれた歌は、これからも私たちに感動と勇気を与え続けてくれることだろう。
命を吹き込まれた歌 AVE MARIA 本田美奈子
去年のクリスマス、友達 親戚へのプレゼントを全部このCDにしました。
話題になっていたのに なかなか買いに行く機会をもてなかっただけに
お蔭でじっくり聴けると喜んでもらい 潜在的なファンが多いことを改めて知りました。
彼女の人並みはずれた向上心が目指したものは、
クラシック唱法の会得、人に”魅せる”という表現力など 列挙すればきりがありません。
人々が憧れたアイドルスターが、やがては自分の足で立ちたいとミュージカルスターとなり、
スタッフや共演者に愛され ますます輝きをましていったのに、
あまりに悲しいことに今は 人々の賛美に送られ天空のスターとなってしまいました。
今尚 ファンを照らし続けている作品とともに
「Live for Life」命のある限り生きる ということを
身を持って全うした勇気をたたえ、これからも多くの人に伝えていきたい一枚です。
100曲以上の候補の中から、彼女自身が心に響く曲、歌いたい曲として
絞り込まれた曲の数々。
天に溶けいるような「アヴェ.マリア」の透明感ある歌声、
目を閉じて祈りを捧げたい「アメイジング.グレイス」涙が溢れてきます。
天使の声 AVE MARIA 本田美奈子
アメシンググレイスが聴きたくて購入しました。
手に入れてすぐに聴きました。あまりに澄んだ声と声量に圧倒されながらも、涙が溢れて止まりませんでした。
私は、心の病です。鬱という病に5年も患ってます。何度もリストカットもしました。そんな中で美奈子さんの訃報を知りました。命と立ち向かう人がいる。命をかけて歌った曲を聴いたとき、私は与えられた命を大切にしていかなければと思いました。
このアルバムは、私の人生の応援歌となりました。美奈子さんの分もがんばりたいと思います。とにかく感動、感動です!!
実に惜しまれる・・ AVE MARIA 本田美奈子
「こんなにもやさしく心に染みるソプラノ・ヴォイス」・・といった一文がこのディスクのジャケットにあります。アイドルとしてデビューした当時の本田美奈子からは「やさしい」というイメージはありませんでしたが、ミュージカル主演を経て華やかな転身を遂げた彼女にあらためて拍手を送りたい気持ちでいっぱいになります。
敢えて絶品の一曲を私が挙げるなら「ヴォカリーズ」。本家ソプラノ歌手も顔負けの歌唱には度肝を抜かれました。歌詞を気にしなくてよい分、歌うことに全集中力・全精神を込めているのが伝わってきます。
歌全体、透明感がありさわやかながらもまだ完成されていない発達途上の印象であるだけに、40歳を過ぎて円熟味を増した歌声をぜひ聴きたいものと思っていました。今さらながら実に惜しまれてなりません。
聴いていると少しつらい AVE MARIA 本田美奈子
曲により歌いこめていない為だろうか、ばらつきがあるように思う。原因の一つに録音と演奏がまずいのではないか。演奏が前面に出すぎせっかくの本田美奈子の歌声が裏に隠れてしまい、本田美奈子の歌が弱く聞こえてしまう。それともこの頃からすでに病気が現れてきていたのだろうか。聴いていてつらくなることがある。しかし、歌声の素直さや暖かさは十分に伝わってくる。そういう意味では病床で自ら選曲した最後のCDになった「アメイジング・グレイス」の方が選曲の為もあり聴く人を幸せにしてくれると思う。
最新レビュー AVE MARIA 本田美奈子
収録曲・トラック
Disc1
1.流声(井上鑑)
2.アヴェ・マリア(カッチーニ)
3.私のお父さん オペラ「ジャンニ・スキッキ」より(プッチーニ)
4.タイム・トゥー・セイ・グッバイ (サルトリ、カラントット&ピーターソン)
5.美しい夕暮れ(ドビュッシー)
6.ヴォカリーズ(ラフマニノフ)
7.グリーンスリーヴス イングランド民謡
8.ジュピター 組曲「惑星」より(ホルスト)
9.私を泣かせてください オペラ「リナルド」より(ヘンデル)
10.シシリエンヌ(フォーレ)
11.ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ(エンニオ・モリコーネ)
12.タイスの瞑想曲(マスネ)
13.アメイジング・グレイス(ニュートン)
14.ベラ・ノッテ〜映画「わんわん物語」より (ペギー・リー&ソニー・バーク)
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