△映画がまぶしいほど輝いていた昭和時代に看板スターだった男と、いまや斜陽産業となった平成の時代にも情熱をもって映画に取り組む小道具係の女性。時代を超えて映画への熱い思いで切り結ぶ二人がこの映画の主軸です。静かに映画への思いが伝わる作品です。
△昭和の看板スターを陰で支える妻役の若村麻由美の演技を高く評価したいと思います。その抑えた演技が彼女の健康的で品のある美しさとあいまって、他の女優にはなかなか演じられそうもない味を出しています。
▼映画への情熱が影をひそめてきたのはテレビの普及によるものだという理屈にはまぁ一理あるとしても、この映画で敵役として描かれるテレビ業界人はあまりにステレオタイプ的かつ戯画化されすぎています。確かにテレビドラマの映画版というものが跋扈している最近の邦画界を昔ながらの映画人は憎にくしげに見ていることは分かります。しかしテレビ業界を批判する上でこの描き方フェアではないし、かえって映画界自身をおとしめるようで損ではないでしょうか。テレビを一段低く見る映画業界の姿勢があざとく見えて、とても残念でした。