このディスクの特徴はこれまでの盤にはなかった二つの部分が加わっていること。一つは第1幕の第1番(モラレスとミカエラの登場する導入部)と第2番(行進曲と子供達の合唱)の間に加わった、モラレスがパントマイムを演じながら歌うシーン。そして−こちらの方がずっとインパクトが大きいが−現在の「ハバネラ」の位置にあった、カルメンがコーラス付きのアリアを歌うシーン。カルメンの存在そのものを象徴するかのような「ハバネラ」だが、これは実は、イラディエルという作曲家の歌に酷似していて、イラディエルの作品の出版社はビゼーに抗議し、ビゼーもこれを認め、「ハバネラ」がイラディエルの曲に基づくものであることをスコアに明記することになったという曰く付きの曲。ところが、ビゼーが最初に作曲したカルメン登場の際の歌は、歌詞こそ大きく変わっていないが、曲はまったく別物といっていいアリア。実は、初演でカルメンを演じたガリ・マリエという歌手が、ジプシー女の誇らしい性格を表わすにはもっと個性的なアリアがいいと、このオリジナルの曲に難色を示したため、ビゼーはなんと13回も曲を書き直し、その結果が現在の「ハバネラ」となった。現在の「ハバネラ」の方がはるかに強烈な個性を発する印象的な曲であることは確かだが、オリジナルのアリアにも捨てがたい魅力がある。資料的な意味でも興味深いディスクだと思う。アンジェラ・ゲオルギューのカルメンも、ソプラノでありながらなかなか気を吐いている。
Disc1
1.No.1 前奏曲
2.No.2 シーンと合唱 広場では人々が行き交い
3.あの娘をごらん、
4.No2a シーンとパントマイム ほら!しっ!ほら!静かに!
5.No.3 子供達の合唱 交替の見張りと一緒に
6.レシタティフ チャーミングな娘から...
7.No.3bis レシタティフ ここがそうなんだろう
8.No.4 女子工員たちの合唱 鐘は鳴った。
9.ごらんよ!そわそわ思わせぶりな目つきと顔をして
10.おや、カルメンシータがいないじゃないか
11.No.5 恋は気むずかしい鳥 <ハバネラ>
12.No.5a アリアと合唱 恋はボヘミアンの子
13.No.6 シーン カルメン!あんたに俺達みんなついていくよ!
14.No.6bis レシタティフ なんて目つき!なんてずうずうしい!
15.ホセ!...ミカエラ! No.7 母の話をしておくれ!
16.No.7bis レシタティフ じゃあ、そこで待っていて、これを読む間
17.No.8 合唱 あそこでなにが起きたんだ?
18.No.9 シャンソンとメロドラマ 上官殿、喧嘩でありました...
19.レシタティフ どこへ連れていくの?
20.No.10 セギディーリャと二重唱 セビリアの城壁近く
21.フィナーレ 命令だ。出発したまえ。
Disc2
1.間奏曲
2.第2幕 No.12 ジプシーの歌 シストルムの金属棒がチリチリと鳴っていた
3.No.12bis レシタティフ 旦那さん方、パスティアからの伝言ですが...
4.No.13 合唱 万歳!万歳!エスカミーリョ!
5.No.14 クプレ あなた方に乾杯させていただこう
6.No.14bis レシタティフ 可愛い君、教えてくれ
7.No.14ter エスカミーリョの退場
8.No.14 quater レシタティフ さあ!早く聞かせて、ニュースは?
9.No.15 五重唱 ちょいと考えるところがあってな
10.No.15bis レシタティフ それにしても誰を待っているんだ?
11.No.16 シャンソン 止まれ!
12.No.16bis レシタティフ やっと来たのね! No.17 二重唱 そちらさんに敬意を表して踊りますことよ
13.ラララララ...待ってくれ、カルメン、ちょっとだけ止まってくれ!
14.兵舎ですって!召集ですって!
15.おまえが投げた花を <花の歌>
16.いいえ、あんたあたしに惚れちゃいない!
17.いやだ!聞きたくない!
18.No.18 フィナーレ おーい、カルメン!おーい!おーい!
19.将校さん!将校さん、色恋沙汰のせいで
20.用心しろよ...戦争は戦争さ!
Disc3
1.間奏曲
2.第3幕 No.19 六重唱と合唱 聞け、聞け、友よ、聞け、
3.いい仕事さ
4.No.19bis レシタティフ 仲間よ、ここで一時間休もう
5.なにを見つめているの?
6.No.20 三重唱 混ぜて!切って!
7.あたしもやってみよう
8.無駄なこと、凶事を免れたい一心で
9.死!...語ってちょうだい
10.No.20bis レシタティフ それで?…通るさ。
11.No.21 アンサンブル 税官吏のことは、あたしたちの仕事
12.No.22 レシタティフ ここが密輸業者たちの根城ね
13.アリア 何も怖くはないと言ってはいるものの
14.No.22bis レシタティフ 間違いないわ…あそこの岩にいるのはあの人だ
15.もう少し下だったら No.23 二重唱 俺はエスカミーリョ、グラナダの闘牛士だ
16.女のために脱走した
17.ようやく怒りを…何というへまをしたんだ、
18.No.24 フィナーレ ちょっと!ちょっと!ホセ!
19.いい加減にしろ、カルメン、苦しめられるのはもうたくさんだ!
20.闘牛士、構えて!
21.間奏曲
22.第4幕 No.25 合唱 2クアルト!2クアルトだよ!…
23.No.26 行進と合唱 やってきた!クアドリーリャだ!
24.もしも俺を好きなら、カルメン、
25.カルメン、忠告するけれど
26.No.27 二重唱とフィナーレ あんたなのね!…俺だ!
27.もう俺が嫌いなのか?