エディターレビュー
J-クラシックのアルバム制作では、ポピュラー音楽とのクロスオーヴァーがあたりまえのようになっている。映画音楽、フォークから演歌まで、楽器で弾けるものならなんでもレパートリーになりうるといった状況だ。しかし、そうした企画が音楽的に成功する確率はそれほど高くない。クラシック音楽の演奏家たちにとって、やはりもっとも安心して表現できるのは、自分たちが教育を受けた音楽の伝統に連なる曲だからだ。 その点、このCDに集められた加羽沢美濃のオリジナルは、クラシック音楽の語法を基礎にしているので、彼らに無理を強いることがない。収録されているのはどれも独奏曲で、ソロ楽器はヴァイオリン、ピアノ、サクソフォン、ギター、チェロ、オーボエ。曲調はフォーレやラヴェルを感じさせるものが多く、曲によってはバルトークやピアソラの香りもする。サティ、ラフマニノフ、フォーク・ジャズ、シャンソンなどのかすかな響きを聴きとることも可能だろう。どの曲も日本の一流奏者によって演奏されており、演奏家ひとりひとりの個性を楽しむことができるが、中で一曲名演をというなら、オーボエの宮本文昭による「夢の扉」。タイトルどおり夢見るような甘いメロディーのかわいらしい曲だが、宮本の演奏は、フレーズのひとつひとつがふっくらしていて、音には色気がある。情がこもっていて、なんだか名優の語りを聴いているような気分になってくる。(松本泰樹)
カスタマーレビュー
作曲家 加羽沢美濃 その才能の輝きと煌き 飛べない鳥~加羽沢美濃クラシカル・コンポジション 加羽沢美濃
加羽沢美濃のファンで、CDも何枚か所有していますし、CHISA&MINOの演奏会も聴きに行きました。演奏会で企画コーナーでも聴けますが、彼女は即興演奏の天才で、どのような音楽でも即座に紡ぎ出してしまう才能の持ち主です。幼い頃から天才少女と言われてきた所以はこのCDのどの演奏からも感じ取れました。
ヴァイオリンの加藤知子、ピアノの田部京子、サクソフォンの須川展也、ギターの福田進一、チェロの古川展生、オーボエの宮本文昭と、日本を代表する一流の演奏家が加羽沢美濃によって生み出されたオリジナル曲を素晴らしい演奏で披露しています。器楽曲の場合、そのピアノ伴奏は作曲者自身がピアノを弾いていますので、ピアニストとしての才能も聴かせてもらえます。
クラシックの教育を受けてきて、東京芸術大学大学院作曲科を修了している経歴もさることながら、あらゆるジャンルの編曲や作曲、演奏に関わってきた経験が個々の作品に反映されており、狭いクラシック音楽としては捉えきれない普遍的で、ジャンルを越えたクロスオーバーの香りが漂っています。そこがまた魅力なのですが。
冒頭の加藤知子が演奏するヴァイオリンの無伴奏曲「悲しい石」は、悲しみに耐えながら、その押し寄せる感情を静謐で厳かなヴァイオリンの独奏として表わしています。メロディメイカーとしての才能も伺えるような作品でした。
一番好きだったのは、ラストの「夢の扉」です。宮本文昭のオーボエの甘い音色と優しいピアノと組み合わせがステキでした。どこか懐かしい感覚に襲われるメロディとハーモニー、題名の通り幻想的な香りを漂わせ、夢の世界へといざないます。繰り返し聴きたくなるような完成度の高さですし、リスナーの心が穏やかになる曲でした。
雨や雪の日、夕暮れ時がよく似合う…と思う… 飛べない鳥~加羽沢美濃クラシカル・コンポジション 加羽沢美濃
加羽沢さんのこれまでの中で一番好きな作品。静謐な中に感情があふれ、心を揺さぶられる。でも重すぎるという感じはない。 中でも「月の湖」は、ヴァイオリンの情熱的で繊細な音色と曲の感情のうねりに胸が締め付けられる。 作品の世界をそのまま切り取ったかの様なジャケットもいい。 ラフマニノフが好きな人はきっと気に入るのではないか。
イメージは冬の日本海? 飛べない鳥~加羽沢美濃クラシカル・コンポジション 加羽沢美濃
吉松隆氏のHPで推薦されていたのを見て聴いてみた。ノスタルジックで、物悲しいけれど、現代音楽のせいか、甘すぎず、それでいてどの音も鋭く、情熱的に心に響いてくる。たぶん自分の波長にあったのだ。この一枚に出会って幸せだ。ピアノソロの3曲の楽譜が出版されていた。さっそく買って練習中。モンポウが好きな方にもおすすめ。
最新レビュー 飛べない鳥~加羽沢美濃クラシカル・コンポジション 加羽沢美濃
収録曲・トラック
Disc1
1.悲しい石
2.月の湖
3.マジャールの刻印
4.砂の風
5.飛べない鳥
6.つばさ
7.黒い森
8.S・N・S
9.氷の夢
10.プリンス・エドワード島
11.6月のゆりかご
12.すれ違う舟のように
13.夢の扉
飛べない鳥~加羽沢美濃クラシカル・コンポジションを買った人はこんな商品も買っています
関連ページ
|