エディターレビュー
押井守監督の実写作品『紅い眼鏡』『ケルベロス』にも登場する公安直属特機部隊ケルベロス。その成立過程を背景に、特機所属の青年と彼らと敵対する立場にある都市ゲリラの女性との交流が描かれる、ケルベロスサーガ前史といえる長編アニメーション。 舞台は第2次世界大戦終結十数年後、高度経済成長期にあり、民衆運動と機動隊の衝突が繰り返される昭和の日本。日本現代史の中にケルベロスという架空の組織を滑り込ませることで、フィクショナルでありながらも当時の空気を再現するリアリティを獲得することに成功している。民衆や学生の闘争の時代をくぐり抜けてきた押井守ならではの設定、物語が堪能できる傑作だ。 なお、本作では監督を沖浦啓之に任せ、押井自身は原作と脚本に徹している。(田中 元)
カスタマーレビュー
そして狼は赤頭巾の娘の夢を叶えた・・・ 人狼 JIN-ROH [DVD] 藤木義勝
たぶん、DVDで一番観た作品。
映画の大画面でも観ました。
最後の結末は衝撃的な悲劇で観てから数週間は立ち直れなかった記憶があります。
でも何度も何度も観ている内にこれはハッピーエンドなのかもしれないなと。
沢山の人々を殺した爆弾を運んだ赤頭巾の少女、圭の言葉の数々、
昔のことを忘れて別の人間になりたい。
この街から出て行きたい。
貴方の記憶に留まりたい・・・誰かに誰かに憶えていてほしかった。
最後の最後で伏くんは圭の願いを全部かなえてしまったんだ…。
この世に居場所を失った少女は青空に昇り、塒を見つけた男は地上に残される――。
たぶんあの当時の押井守さんじゃないと書けなかった脚本のドラマ。
ガンダムの富野由悠季さんもそうなのですが悲劇が好きな作家さんは
とことん救いの無い話を描いた後はその贖罪のように救いを描くようになる。
押井さんもこの作品を頂点にしてドラマの結末に救いを描くようになった。
本当に救いの無いお話。
けれど圭の昇天こそがほんのささやかな救いだったのかもしれません。
それはこの世で本当に好きだった人を幾度も騙してしまった彼女の償い。
そして男は彼女に永遠に縛られる。
日本映画史上でもベスト10に入る悲しい恋の物語。
必然を感じさせる悲恋と音 人狼 JIN-ROH [DVD] 藤木義勝
日本のもう一つの戦後史‥‥‥とも言えるような歴史設定を与えられた作品。
警察、公安、非合法テロ組織が織り成す情報戦と、その中で生まれた愛し合える筈もない立場の男女の恋愛が語られる。
謎解きのように仕掛けと裏切りが交錯し、混沌としている様に見えて、その実、非常に予定調和で、先が読めてしまう点はあるが、意気込みと中身の濃さが十分に伝わって来る。
画は、暗さが印象的。デジタル着色なので、発色は奇麗で微細な色の違いが良く分かる。良く分かり過ぎて、キャラの動きがぎこちなく感じられ、妙な違和感を覚えるほど。
一部、輪郭が不鮮明に感じる部分もあるが、これは空気感を演出しようと、フィルターを噛ませているためらしい。
音は銃器の撃音、火炎瓶の爆発音などが耳に残る。広場、地下水路、ゴミ捨て場など、銃器が使用される環境毎で、音が微妙に異なって再生されるのが素晴らしい。
台詞回しがワザとらしく感じられる所もあるが、それを補って余りある銃器類の音、と言えるかもしれない。
白眉は、地下水路での追い駆けっこのシーン。無音の中に音が聞こえ、音が聞こえる中に無音を感じさせる。ここから生まれる怖さの演出が秀逸。
テーマの古さを逆手に取った映像美に感動 人狼 JIN-ROH [DVD] 藤木義勝
プチ押井ファンながらも、どうも学生運動的世界を使ったテーマ自体がオッチャン臭くてキツイなぁ…なんて思いながらも、観てびっくり!暴力の乾燥した無意味さ、悲しさ、はかなさが独特の映像美の上に上手く表現されており、今観ても郷愁以上の何かを感じる作品だった。
いまさらですが観るべき映画です。 人狼 JIN-ROH [DVD] 藤木義勝
もうかなり昔の作品ですが有名な作品のくせになぜかピックアップされない作品です。どうも有名な作品の陰に隠れてしまっている印象があります。私は昔からこの作品が好きで心を離さない名作だと感じておりますが人によってはたぶん理解しにくいし最後はなぜ?と納得出来ないと思います。アニメと考えず邦画映画と思って映画好きの大人は是非観て下さい。
この諜報戦は傑作中の傑作 人狼 JIN-ROH [DVD] 藤木義勝
正直一回見ただけでは全てを理解することが難しいと思われるアニメである。ただ流されて見ただけではなんの後味も残らないであろう。なんだかよく分からないままストーリーが進んでしまい、ラストシーンへ移ってしまうはずである。そしてまたしても良く分からないまま「ああ、押井守節だな。」と終わらせてしまうことが私の場合あった。しかし、この作品の本当の注目すべき点は何気ない会話のやり取りにある。会話の裏には情報収集というものが隠されているのである。そしてなんといっても最大のどんでん返しは一見利用されているかに見えていた伏が実は一歩も二歩も先をいっていることが明らかになるシーンである(実際は人狼だが)。この作品は派手さはないが、非常に深いストーリーで構成されている。ストーリーを追うことができればラストシーンは最善の行動だったと分かるはずである。
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