エディターレビュー
恋人との交際を反対された順は、カッとなって父を殺し、その後、母まで殺して逃亡する。厳格な環境の中の溺愛に身動きとれなくなった青年が、ふとしたはずみから地獄の底辺をさまよっていく姿を冷徹にとらえた、70年代を代表し、今も輝きを失わない青春映画の問題作。 これが映画デビューとなった長谷川和彦監督の、当時の社会および日本映画界に対する怒りが、研ぎ澄まされた感性と両立しながら爆発したかのように、やもいわれぬ衝撃的パワーに満ちあふれた傑作である。1976年度のキネマ旬報ベスト・テン第1位。主演の水谷豊、原田美枝子もそれぞれ主演男&女優賞を受賞。その初々しくも凄絶(せいぜつ)な熱演に圧倒される。ゴダイゴによる透明感あふれる音楽とのミスマッチも、逆に青春のせつなさを美しく増幅させていくすばらしさ。今が青春期の人は絶対観ておいた方がいい。(的田也寸志)
カスタマーレビュー
暗く、かつ軽く 青春の殺人者 デラックス版 [DVD] 水谷豊
普通の日常が、ほんのふとしたことから壊れてしまう。しかも絶対にその頃は戻ってこない。
そんな暗く切ない話を、軽いタッチで、ほとんどエンターテイメントに仕上げてしまっている監督の力量に感服しました。
一家心中のシーンは本当に怖い!! そんな怖いシーンを観たあとで、回想シーンに、幸せに浜辺をチンチン自転車を引きながら歩いている親子の姿をみた時には、思わず涙を溢しました。
絶対に戻ってこない幸せ、ノスタルジィ。 そんなものは、本当に簡単なことで無くなってしまう。 そして、その若者の叫びを誰一人聞いてくれちゃいない。
是非観て下さい。 これは凄い映画です!!
不思議。 青春の殺人者 デラックス版 [DVD] 水谷豊
とても暗く救いがない映画なのに水谷豊が出てるだけで妙にかっこよく感じたものでした。やはりまだ傷だらけの天使のアキラのイメージが大分濃厚な時期だったからでしょう。そういった点から観れば監督や原作の意図したテーマからは大きく逸脱していた訳ですが恐らく水谷豊が出てなければここまで話題にはならず評価はされなかったでしょう。
市原悦子怪演 青春の殺人者 デラックス版 [DVD] 水谷豊
時代が反映されている映画でした。世の中ろくな事件が無い。でもこの頃に比べたらまだましかも・・・なぜならばこの時代は、収拾がつかなくなっていたから。
市原悦子の狂気や、水谷豊の演技がすごくなんかリアルだった。内容が、行き当たりばったりな感じがすごい。収拾のつかないただくらい映画なのに、そんなにやな感じがしないのは、ゴジラマジックですかね・・・。一度は観ておきたい映画ですね。
※トラウマにならないように暗い部屋で一人で見るのはやめましょう。
暗〜く、重く、そしてよくも悪しくもやたら熱〜い!! 青春の殺人者 デラックス版 [DVD] 水谷豊
学生のころ名画座で見て衝撃を受けたのをおぼえていて、この歳になっても同様の感動があるものか確かめたくなって見てみました。そしてそれなりには楽しめたのですが…。
そうとう昔の映画なのにあまり古さを感じなかったことにびっくり。水谷豊はこのころすでに演技ができあがっていたのだなあ、とそれにもびっくり。(意地悪な言い方をすれば、以来まったく進歩がないってこと?)
ただ当時絶賛されたと聞く原田美枝子は最初から最後までヒステリックに叫んでいるだけで、
どこが名演技なの?と首を傾げたくもなりましたが、でも彼女の十代の輝きはまぶしくて、大女優の片鱗は
たしかに見て取れたような気もします。
そして一番びっくりしたのは、私がこよなく愛するゴダイゴの曲が全編に使われていたのを知らなかった(忘れていた)こと。大ファンを自認する者としては恥ずかしい限りですが、残念ながらこの作品にはワンシーン(主人公が移ろう意識の中で過去の幸せな瞬間を回想するくだり)を除いてはまったくマッチしていなくてがっかりでした。
作品とはあまり関係ありませんが、DVDの特典の長谷川監督のインタビューは制作裏話としてなかなか興味深く、また豪傑として鳴らした彼の人となりもかいま見る事ができとても面白かったです。この類いのおまけをあまり見た事がありませんが、お金もかからない企画なのでぜひどの作品でも付けていただきたいものです。
大人になるための儀式 青春の殺人者 デラックス版 [DVD] 水谷豊
長らくビデオ版で見てきただけに、たった5分長くなっただけとは言え、DVD版は衝撃的でした。そしてその5分に重要なシーンが凝縮されています。そして長谷川監督のインタビューも目から鱗が落ちるもので、今までこの映画に思い入れてきた先入観が晴れました。予告編にしか残っていないシーンもあり、絶対にこのDVDは買いです。 不謹慎かもしれませんが、どうも私は両親殺害の前半部はブラック・コメディに見えるのです。死体でしかない父親はまるで『ハリーの災難』ですし、市川悦子のぶっ飛んだ大仰な演技は何か時代劇の大立ち回りを思わせます。それは長谷川監督の資質なのかもしれません。暗黒劇にしても良いし、スプラッターにしても良い所なのに、深刻さをあえて避けているように感じます。しかしそれとは対照的に、主人公がケイ子と一緒にいる時間の方が張り詰めた心象に満ちています。そして父親は主人公の回想の中で最も存在感を持つのです。この作品のテーマは両親殺しと言うよりも、むしろ好むと好まざるとに関わらず大人にならざるを得ない青春の戸惑いと苦悩であるように思います。原作の『蛇淫』もかつて斜め読みしたことがありますが、この映画では主演女優に原田美枝子を迎えたことで、全く違った作品になっています。濃密な情念の世界がリリカルな青春の彷徨ストーリーになり、まるでテレンス・マリックの『バッドランズ』の作品世界です。 1980年には金属バット殺人事件やバス放火事件が起こり、真意の知れない不気味な事件が増える先駆けとなりました。この作品はまだ人間の顔が見える時代の名残を残しています。そして大人になることが簡単ではなくなった現代の若者のもがきにも通じていて、今こそ再評価されるべき作品だと思います。
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