イングリッシュ・ペイシェントのジュリエット・ピノシュ主演のヒューマンドラマ。
まずピノシュの魅力が際立っている。
それからラッセ・ハルストレムの作品らしく全体に温かくかわいらしい
ながらもテーマがクリアで気持ち良いという印象。
そして終始柔らかく自然なライティングによる美しい映像。
地味だけどかなり完成度が高い!。
映画の魅力は派手な映像や豪華なキャスティングばかりじゃない
事に気付かされる作品。
北風とともに街から街へと移り暮らす親子が、厳格な宗教的しきたりを重んじるフランスの田舎町に流れ着きます。そこはちょうど断食期だったにも関わらず、親子はチョコレートショップを開きます。そして、そのチョコレートを食べた人々は、徐々に束縛から解放される強さを得て、より自由になって、街全体が変化していきます。
ラッセ・ハルストレムらしい、人間関係を暖かい視点で描いた佳作です。いろいろな人間関係を同時進行で描き、結末へと結び付けていく手法は、彼の得意とするところなのでしょう。本作でも、たくさんの豪華俳優達がそれぞれのシンプルな人間としての悩みをうまく体現し、人生をより良いものにしようと模索する様子がうまく描かれています。移り暮らす生活に疲れてきていたJ・ビノシュとジプシーのJ・デップが最後にどのような決断を下すのか。ビノシュには「チョコで人を変える」という使命が、デップにはジプシー仲間との大切な暮らしがあります。是非二人の決断に注目してみてください。また、娘との諍いから孫に会わせてもらえない老婆の苦悩を、英演劇界の重鎮J・デンチが好演しています。このように、誰もが抱えるような人間としての日常的な悩みへと立ち向かう姿を、本作はやわらかく表現していて、すごく共感できます。
チョコによって変わっていく街の人々もかわいらしいです。チョコという媒介は稀有にせよ、人間って、何かをきっかけに、簡単に、かつ良い方向に変われるものなのですね。