録画しておいた《長崎ぶらぶら節》を見て思ったことは、雪国にしても、原作のモデルの大体がすっきりした美人ではなく、美人ではないがどこか愛嬌のある女が本当のような気がする。
長崎ぶらぶら節も映画の小百合ちゃんよりはドラマの市原悦子の方がより実感をもって迫ってくる。
人が好くて、男が好きで、からだの奥から情の深さが匂ってくるというか。
市原悦子さんの愛八には思わず抱きしめたくなるような愛おしさがある。
小百合ちゃんの愛八には体臭が感じられない。垢もついていない。
これまで生きてきた間にいつとはなしについてしまった垢。
いうにいわれぬ哀しみみたいなもの。
男優もそう。《時雨の記》では小百合ちゃんと渡哲也のシュっとした美男美女でよかったのだが、幅のある人間を演じるには渡哲也よりはどうにでもなる崩れた魅力の藤竜也のほうが好い。
谷崎の《細雪》でも山本富士子にあった関西のはんなり感が小百合ちゃんにはまったく感じられずガッカリしたものだ。
特に気になったのは意地悪な眼つき。
小百合ちゃんのいけずは目に力が入り過ぎるというか。ストレートに出てしまっていただけないのだ。
意識せずにできる、もともと身についたいけずな意地悪さというのかな。
さらっとした眼つきなのだが、そのしたたかさが想像できるような。
その点では佐久間良子さんの眼つきは好かった。
もともとスターと呼ばれる人には芸達者な人はいないし、これはしょうがないのかも。
他の方もレビューに書いてますが、吉永小百合さんが演じる愛八がとても可愛らしかったです。女性って、何歳になっても可愛らしい人はいるし、反対に、若いのに少しも可愛くない人もいますよね。何が可愛いと感じさせるんでしょうね。それは、健気さとか、欲のなさとかなのでしょうか。愛八は、地位も名誉もお金も必要とせず、いろんな意味での愛と、それから芸者の誇りを大事にして生きています。それがちっとも嫌味に感じないのは吉永小百合さんの人徳でしょう。このDVDを観て、自分もこんなふうに一途に誰かを大切にして生きていけたら素敵なのになあと思いました。
それから、このDVDを観ると、豪華な芸者の世界を堪能することもできます。美しい着物を観るのも楽しいですし、芸者の芸やら、飲み会ゲームもなかなか興味深かったです。昔から、飲み会ゲームってあるんですね、知らなかった。
最近、着物に興味を持ち「着物がたくさん出てくる映画がみたい」と
思って、この映画を見ました。
芸者さんの衣装から、日常の着物、四季折々の着物と着物鑑賞を存分に
楽しみました。
映画としての出来も、吉永小百合演じる愛八が、凛とした強さと優しさと
恋する女の可愛らしさを見事に表現していて、見終えた後に、
しみじみとした満足感を覚えました。
この映画を撮影した時、吉永小百合さんは、56歳。
なのに、恋した人を思う時の可愛らしさといったら、同性から見てもため息が
出る位です。