伝説のフィギュア「ヘルバンカー」を追い求めているオタク青年と、彼につきあわされる世代を越えたさまざまなオタクたち、そしてそんな彼に呆れながらもなぜか別れられない恋人…などをスタイリッシュに描いた青春群像劇。と思いきや(いや、確かにそうなのだが)、荒廃した未来世界戦士の語らいや、アメリカンコミック『ヘルバンカー』のポップな映像、謎の中国老人のつぶやきなどが時折劇中にはさみこまれていき、いつしかそれらの要素がすべてひとつのドラマとして繋がってしまうという、実に斬新かつユニークな手法で展開されるオタク賛歌映画。
「オタクこそが世界の歴史を変えてきたのだ」と説く作品テーマに、こちらもすこぶる感激。従来のオタクのイメージを覆す主演・伊藤英明のスマートな好演ぶりもうれしい。(的田也寸志)
中身を箱から出さないことに価値を置くフィギア崇拝者は「処女崇拝者」と同じと言ってのけるあたりは面白かった。
マイナス要素は主人公の恋愛。これは余計だった。あまりにありがちで、作品から浮き上がっている。
天地がひっくり返ってもフィギアを集める続けると言い切った主人公に、陳腐な恋愛をさせたのはムダな印象。いっそのこと、美人のフィギアに恋をしていたほうがよかったのでは。
それをのぞけば、意外に楽しめる。
私生活でもフィギアを集めているらしい伊藤英明が本気で楽しそう。
そして山崎裕太がうまい。オチもよかった。
レア中のレアのフィギュアをめぐって、西に東に北に南に奔走する若者と
それを取り囲む人間によって描かれる人間心理的近未来。
やがて、主人公がコレクターから究極の転身を遂げるまで、アップテンポで飽きない。
コレクターやオタクのほとんどが、限りなくあほに近い完全理想主義者。
でもそれはこの前までの事。
今は国民総コレクター。明日になれば何にも興味も示さなかった誰かがレア物を信仰して駆け回るかもしれない。
伊藤英明が演じるフィギュアマニアの青年は、一見してごく普通のカッコいい
兄ちゃんである。伊藤君の演技がどうなのか、熱狂的なオタクには感じない。
全体に流れるアメリカのロックの流れはセンスがいいが、キャラクターとかみ合わない。しかし、それがまた全てN¯!!W。
スタートレックオタクのオヤジ役で、声優の大塚明夫が生身の姿で出演している貴重な作品で、またその演技が熱が入り過ぎて映像から浮きすぎ。またそれもGOOD。
唯一、メカオタク役の山崎 裕太が年季の入った演技でマニアックな映像の中クールに決めている。