エディターレビュー
現代版『赤と黒』とも呼ばれる大藪春彦の同名小説を、「遊戯」シリーズで名をあげた村川透監督、仙元誠三撮影、そして松田優作主演の黄金トリオで映画化したアクション巨編である。 昼間はうだつのあがらないサラリーマン。しかしその実、大資本を我がものにすべく暗躍を続ける超キレモノの男、朝倉哲也の闘いの日々を、ハードボイルドタッチで描いている。ワイルドななかにもコミカルな個性を見せながら、悪の道をひた走る松田優作がお見事だ。風吹ジュンとの大胆なラブシーンも、公開時は話題となった。また、脇を固める演技陣も、成田三樹夫、佐藤慶、小池朝雄など、まさにニッポン個性派俳優オンパレードのにぎやかさである。(的田也寸志)
カスタマーレビュー
蘇る70年代の空気。フィルムに封印された松田優作の永遠のかっこよさ。 蘇える金狼 [DVD] 松田優作
79年公開だから30年前の作品。久々にこのDVDを観ると、その色彩感覚や何となくアート映画っぽい雰囲気を少しとはいえ交える構成に、70年代の邦画・映画館の空気が蘇ってくる。昼はさえないサラリーマンが夜は体を鍛えて着々と計画を進めていくかっこよさ。私は遂にそのような二重生活を送ることができなかったし、よくあるパターンと言ってしまえばそれまでかもしれないが、この手のいわば変身ものの悪漢映画で一番説得力があるのはこの作品だ。とにかく松田優作の身体能力の高さとプロ意識が多少の欠点をすべて帳消しにする。ピカ1は議員との取引の指定場所に単身乗り込んで先回りしている連中を次々に片付ける場面。速い動きをカメラが追跡して少ないカットで組み立てるのは映画的興奮の極みだ。そして、個性的な脇役達。中でも成田三樹夫、岸田森、千葉真一が強烈な印象を残す。風吹ジュンの体当たりの演技も見逃せない。
さて、映像はリマスターした方がいいのだろうか。比較的最近発売のボックスに収められている同作の映像の画質を知らないが、私はこの30年前の邦画の肌触りを伝える本エディションの映像を悪くないと思っている。
我々サラリーマンのヒーロー 蘇える金狼 [DVD] 松田優作
拳銃を握って己の欲望が赴くままにコンクリート・ジャングルを跋扈。
そんなキャラクターが似合う男は、優作だけではなかったか。
ランボルギーニで車道のド真ん中を疾走しながら、ふてぶてしくニヤつく優作の笑顔。
上司の鳩尾へ容赦なく正拳突きをかまして腕を折り、社長に啖呵を切って「コーヒーくらい出せよ!」と毒を吐く姿……陶酔して止まない。
そして、探偵物語のようなコメディー・タッチもこなせる彼だからこそ「陰と陽」のギャップが魅力的な朝倉の二面性を演じきれたに違いないのだ。
絶対に、そうに決まっている。
数年前にジャニーズがTV版の朝倉哲也を演じたが、あんなものは金狼でも朝倉でもない。朝倉の戦闘服は、あくまでも、スーツに緩めたネクタイである。
ミリタリーで武装した朝倉など、伊達邦彦とどう違うのか。まったく判っていないしお笑いグサ。朝倉哲也に狂気はいらない。狂気もまた、伊達邦彦のものである。
貪欲な頭脳と、凶暴な闘争心、しなやかな行動力。
朝倉は非情ではあるが、断じて狂人ではないのだ。
得意先や上司への作り笑いがベッタリと顔に貼りついて、ストレスと過労で死にそうになりながら発狂寸前になる時……この作品にどれだけ救われたか。
朝倉こそが、俺達サラリーマンの胸へドス黒くトグロを巻いた怨念を晴らしてくれる、唯一のカタルシスなのだ。
VHSが擦り切れるまで観てしまったからDVDを購入するしかないだろう!
古くて新しい 蘇える金狼 [DVD] 松田優作
昼は真面目なサラリーマン、夜は殺し屋、の隔たりの
大きいギャップは、自己の変身願望をくすぐるからか、
非日常に飛び出したい本能からくるからか、いや、
松田優作が醸し出す雰囲気・演技力によるものだろう、
見ていて痛快に思ってしまう。
女からの一言によって自分の中に愛が芽生えている
ことに気づく。カネだけの人生から愛に目覚める。
が、時遅し。人生があっけないことを感じさせられる。
カウンタックでの走行シーンが古くさくていい。
これぞ松田優作 蘇える金狼 [DVD] 松田優作
この映画の松田優作は、ふてぶてしく、たくましく、これまでのハードボイルド路線の総決算という感じで、とても格好いいです。当時、織田無道氏所有の真っ赤なカウンタックで夜明けの道路を高笑いしながら走るシーンはとても印象に残りました。なかでも、いちばん格好いいのはラスト近くの空港のロビーを歩くシーンで無様にこけるところです。これぞ松田優作という感じです。野獣しすべし以降の松田優作は役ずくりの為に歯を抜くなどして、顔もやさ男風になって、野性味あふれる雰囲気が薄れてしまった様に思います。私は松田優作の作品の中では、この映画が一番好きです。
配役ミス。 蘇える金狼 [DVD] 松田優作
大藪作品はまったく受け付けない私が唯一読み、蔵書としているのがこの作品。 リチャード・スタークの傑作[悪党パーカー]シリーズとあまりにトントン拍子に犯罪がランクアップしていく様子が民話[わらしべ長者]をミックスした様で楽しめる。
対して映画版はどうもスマートさが足りない。 これは主役の松田優作氏の存在感、というかヌボーッとした大木・大根振りと、あまりにストーリーを詰め込み過ぎた様に感じる。 そしてあのラスト。 ナルシストここに極めり。
海外で[悪党パーカー]の映画版[ペイバック]を撮ったメル・ギブソンの若い頃辺りで撮って欲しかった。
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