歴史に残るバレエダンサーが、数々の伝説的振付で記憶されるヌレエフの振付で、人類の遺産たるプロコフィエフの名曲に乗せて演じるバレエ。しかし、少し時代遅れの表現だが合成の誤謬とでもいうのか、芸術性は高くはない。オペラ座の演奏の質は低くプロコの芸術性を再現できないが、それはいつものこと。命取りは、ハリウッド内幕もののような演出だ。芸術的なダンサーたちに、フレッド・アステアのようなダンスをさせ、まるでMGMミュージカルのような仕上がりになっている。今となっては理解しがたいセンスだが、芸術の都で帝王のように君臨したヌレエフにも、この時代、アメリカ文明が眩しく見えたということか。
1987年スタジオ収録。
シンデレラ:シルヴィ・ギエム、王子:シャルル・ジュド、上の姉:イザベル・ゲラン、下の姉:モニク・ルディエール、他ルドルフ・ヌレエフ、ファニー・ガイダ、カロル・アルボ、エリザベット・モーラン
エトワールの中でもギエムの存在感は別格でした。長い手足を自在に操り踊る姿は、役を超えた「強い精神」を感じます。また、王子役シャルル・ジュドは包容力のある踊り手で、しっかりとギエムを受け止めています。
ヌレエフによる奇抜な演出は、いわゆる一般の「シンデレラ」を期待すると肩すかしを食らうかもしれません。オペラ座在籍時代の若いギエムを観ることが出来るという点では貴重な映像です。