・ユーモアにあふれた傑作である。登場人物ひとりひとりをいとおしく感じながらじんわり笑える映画だ。随所に取り入れられたドキュメンタリー的な手法も、そういう笑いを増幅している。
・ド田舎の農村。ちょっとした諍いで村長に亭主の股間を蹴られた秋菊は、ただ村長にひとこと謝罪してもらいたいだけなのだが、頑固な彼はどうしてもそれができない。彼女も同じく頑固者なので、村役場、市役所、県庁、裁判所へと次々訴えて出るが、慰謝料の金額が増えるだけで、村長の謝罪はやはり引き出せず、徒労感を覚えるしかない。そんなある日、身重の秋菊は急に産気づき・・・。
・秋菊、村長、そのほかの登場人物は、基本的には善良な人たちである。秋菊と村長が対立中であっても、秋菊の家族は村長に、村長の家族は秋菊に優しい。
・ひとつ上の機関はひとつ上の都会にあるので、秋菊はだんだん大都会に向かうことになり(唐辛子を売って旅賃を捻出する)、我々は現代中国の田舎から大都会までを見ることになる。また、対立がほぼ1年続くので、美しい農村の四季も見られる。このへんの作りも上手い。
・「あの子を探して」も是非ご覧いただきたい。
「あの子を探して」「初恋の来た道」のチャン・イーモウ監督の作品。
主演は「覇王別姫」「始皇帝暗殺」の中国の名女優コン・リー。
中国の片田舎で起こった事件、秋菊(コン・リー)の夫が村長に股間を蹴られケガをした事から始まった。とある農村の小さな諍いを発端として、中国の社会状況まで見えてしまうのが、さすがチャン・イーモウ監督だと思う。