黒人のスピルバーグと呼ばれるジョン・シングルトン監督作品で、90年代に黒人監督とスタッフにより作成された映画です。
アメリカの映画産業は、移民への教育装置として捉えられることが多い。だから、これは90年代の黒人達のメッセージと考えていいのではないでしょうか。ただ、アメリカを「約束の地」と考えるWASPにとっては、マイノリティである黒人達の描く絶望に満ちた実像は、受け入れがたいかもしれません。この作品も、やりきれない悲劇です。
現代アメリカの背景、ネオナチの台頭、銃社会、人種対立、アファーマティブアクションなどを押さえていると、より深くこの作品を理解できると思います。
西海岸の大学に陸上選手としての才覚が認められて奨学生として入学する黒人のマリクのキャンパスライフを描いた作品。大学で、様々な国籍・人種・イデオロギーが、それぞれグループを形成して校内で分裂し対立している中、成長していこうとする主人公の姿が、とても幼くそして純粋に感じました。理想を信じる女性を人種を越えて恋する主人公、そして理想を語るものの銃による抹殺は、なんかやりきれない現代アメリカの姿を浮き彫りにさせます。ぜひ、エドワードノートン主演の『アメリカンヒストリーX』と合わせて観て下さい。日本社会は、ここまで強烈であからさまな人種差別は、お目にかかりにくいので、その苛烈さに衝撃を受けるかもしれません。
近年郊外や大学で銃を乱射する犯罪者とFBIの銃撃戦などが良くテレビでお目にかかりますが、経済絶頂のアメリカ社会も文化的には、本当に大変違うんだなぁ、とため息をつかされます。