なんと、大胆不敵なタイトルなのだろう。声の好みなど、あくまでも主観的なものなのに。しかし―。 フレミングの声は異論を挟む余地を与えない。ショルティをして、「I am having an affair with her voice.(さしずめ、「私は彼女の声とただならぬ関係にある」といったところか)」と言わしめたほどの美声である。
個人的には、フレミングのアルバムのなかでは、これが出色の出来だと思う(他にも優れたアルバムはたくさんあるけれども)。圧巻はプッチーニの「ドレッタ」。ボリュームのある「ハイC」は、他に類を見ない。意味をかみしめて聴くと、身体がゾクゾクしてしまう。「あの日から」も珠玉。こうもりの名曲チャルダーシュは、いかにも彼女の本領発揮。普通なら割れませんようにと、守りの姿勢から、尻切れトンボ気味に終わりかねないラストの「ハイD(だったかな?)」も、「出血大サービス」とばかりに、伸びやかに弧を描く。
いまから数年前のこと、最前列ど真ん中で彼女のリサイタルを聞くという恩恵に浴したことがあったが、全身が彼女の声に浸る感覚は、まさに至福の一語。あの感動は、生涯忘れることはない。
Disc1
1.歌劇「ルイーズ」~その日から(シャルパンティエ)
2.歌劇「ファウスト」~何と美しいこの姿(宝石の歌)(グノー)
3.歌劇「マノン」~みんなの声が(マノンのガヴォット)(マスネ)
4.わが母の教え給いし歌(ドヴォルザーク/マッケラス編)
5.歌劇「マルタ」~夏のなごりのバラ(庭の千草)(フロトウ)
6.歌劇「つばめ」~ドレッタのすばらしい夢(ドレッタの夢)(プッチーニ)
7.歌劇「死の都」~マリエッタの歌(コルンゴルト)
8.「カルミナ・ブラーナ」~天秤棒に心をかけて(オルフ)
9.明日にはop.27-4(R.シュトラウス)
10.ヴォカリーズ(ラフマニノフ/ブラーデン編)
11.喜歌劇「こうもり」~チャルダーシュ“故郷の調べ”(J.シュトラウス2世)
12.喜歌劇「メリー・ウィドウ」~ヴィリアの歌(レハール)
13.歌劇「月」~エピローグ(カノ)
14.「オーヴェルニュの歌」~バイレロ(カントルーブ)