『動物の謝肉祭』は1985年4月西ドイツ、『フェルディナンド』と『動物の祈り』が1981年4月、『小さな悲しい音』が1987年1月オーストリアで録音。
まず驚いたのは日本盤は2種類のライナーが用意されていて、一つは大人用(変な表現だが・・)一つが子供用になっているところだ。子供用は絵本のようになっていて、大きな字にルビがふられ、とても可愛らしくオトナでも読みやすい。こういう細やかな気遣いに感心した。
演奏はもうホントに完璧だ。まあ、ヴァイオリンがギドン・クレーメルでピアノがマルタ・アルゲリッチとネルソン・フレイレ。そして何と言ってもチェロがミッシャ・マイスキー。もうここまででどんな『動物の謝肉祭』になるのか予想がつく。面白いのが11曲目の『ピアニスト』。わざとへったくそにチェルニーを弾いてみせるアルゲリッチとフレイレの芸達者ぶりに思わず大笑いしてしまった。よほど年小の頃にチェルニーに恨みがあるに違いない。
そして13曲目の『白鳥』。何と高貴な演奏だろう。この曲はミッシャ・マイスキーのためにあるような曲だ。彼のコンサートでアンコールに弾いてくれたこの曲は今でも忘れがたいほどの名演だった事を思い出してしまった。彼のモンターニャ製のチェロの美しさ、そして彼自身の心の優しさがにじみ出るような演奏だ。
こんな凄い『動物の謝肉祭』を作ってしまうアルゲリッチに感服である。
聴いていて楽しい、動物たちと一緒に踊りたくなってしまうような小品集です。アルゲリッチとその仲間たちが、こんな面白い曲を演奏してくれることに嬉しさを感じます。そんな中でも「白鳥」だけは真面目な曲で、聴いたことがない人がいないぐらいの名作ですよね。それが実は動物の謝肉祭の中の1つだったとは。新鮮な驚きでした。
ほんの冗談音楽のつもりで書いたのに、気づいたらサン=サーンスの一番有名な作品になっていたという、まったくもって冗談の極みを行く曲、動物の謝肉祭の極めつけの演奏。すごい面々が大真面目に冗談かましてます。
個人的にオケ演奏より室内楽演奏のほうが好きです。奏者個人個人の上手さが際立つのはもちろんのこと、サン=サーンスの楽器の使い分けの巧みさがよくわかります。
演奏に関しては言う事ありません。各曲それぞれの雰囲気作りは見事ですし、“ピアニスト”の演奏はこれくらいふざけてないとさまにならないんです。まあこの曲は本当なら実演で楽しむのが一番なんですけど…。他にも冗談みたいな音楽が数曲入ってますし、こういう冗談に金出して付き合ってやっても良いという酔狂な人はぜひ聴いてみてください。