水墨画というとモノクロのイメージがあるが、これはれっきしたフルカラーの作品。オタマジャクシたちがまだ見たことのない母親を捜す小さな冒険を描いた「ママ!? ママはどこ?」、子鹿と少女の心のふれあいをテーマにした「仔鹿と少女と鈴の音」、水墨で描かれた中国の雄大な自然と琴の音色が印象的な「山の音 琴の詩」の3本を収録。
各作品ともヨーロッパを中心に世界各国で高く評価され、モントリオール映画祭、モスクワ国際映画祭など多くの映画祭で映画賞を受賞した。1話をのぞいて、台詞は一切なく、中国の伝統的な音楽で情景を巧みに表現している。背景ももちろん水墨画で、独特の色の濃淡で表す遠近法や描き込みの少ない背景は、他のアニメーションでは味わえない奥行きと広がりを感じる。淡く描かれた水墨画の人間や動物たちが滑らかに動くのは、実に不思議で優しい。ナレーションはジュディー・オングが担当。(大石みちひろ)