子どもたちに音楽の楽しさを親しみやすく伝えるという意味で、小澤征爾ほど適任の音楽家はいない。このディスクでの語りにそれははっきりと表れている(ナレーション演出:実相寺昭雄、台本・脚色:小澤幹夫)。おおぜいの大衆に向かって話しかけるのではない。自分を演出しようともかけらも思っていない。ほとんど地である。ただシンプルに、一人ひとりに向かって最小限の言葉で優しく話しかけている。それが子どもたちには一番だ。
ここに収められている3曲は、小学校の音楽教室で必ずといっていいほど教材にされてきた名曲。ボストン交響楽団の柔らかく豊麗な音色が十二分に生かされ、大人でも改めて聴くとやはりなんていい曲なのだろうと納得させられる。これらの曲を演奏するときは、オーケストラも聴き手の心に一歩でも二歩でも近づこうとするし、チャーミングなソロがそこかしこに光ることが多い。ここでのボストン響も例外ではなく、語りかけようとする精神が、音楽全体を生き生きとしたものにしている。1992年2月ボストン録音。ナレーションのみ同年3月東京での録音。(林田直樹)
指揮者の小澤征爾自身がナレーションで解説していますが、台詞が下手なのが残念です。ベンジャミン・ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」もナレーション無しのCDは珍しいので、解説は冒頭だけにして、途中のナレーションを無くした方が希少価値が出たのではないかと思います。