ノース・キャロライナ州ランバートン。大学生のジェフリーは、突然発作に襲われて入院している父を見舞った病院からの帰り道、野原で切り落とされた人間の片耳を見つける。刑事の娘サンディと知り合ったジェフリーは、事件の真相を探るうちに、謎めいたキャバレー歌手のドロシーと出会う。・・・
気持ちよく晴れた青空、庭に咲く赤いバラ、青々と茂る緑の芝生。のどかで平和的な田舎町の野原に落ちている腐敗しかけた人間の片耳。「んん!?」と思った瞬間から、観ている私もジェフリーと一緒に事件に巻き込まれていました。ジェフリーがひょんなことから垣間見てしまう暴力と犯罪、狂気とセックスに満ちた世界が独特な映像で描かれていて、これが実にお見事。サディスティックな男、フランクを演じるデ二ス・ホッパーのキレぶりや、倒錯した性の歓びにふけるドロシー役のイザベラ・ロッセリーニ、ゲイバーで怪しく歌うオカマのベンなど、イッちゃっている人々がこれまた天晴れです。主題歌の『ブルーベルベット』や『眠りの精はお菓子のピエロ』など、音楽も効果的に使われていて、物語を耽美に盛り上げています。個人的にはデヴィット・リンチの作品は敬遠していましたが、この作品は極上の出来で楽しめました。