シルク・ド・ソレイユがカナダから国外進出を果たした当初、その力強く、あまりに斬新な「サーカスの革新」とでも呼ぶべきショーは奇想天外そのものであった。ヨーロッパのサーカス団からヒントを得て、ビッグトップと呼ばれるテントには円形舞台がひとつだけ。観客との距離が縮まる形となった。動物芸もなければ、定番のカツラを着けたピエロもいない。代わりに登場するのはパントマイムに長けた愉快な面々(などという表現では役不足か)であり、ショーの中心はアクロバット師に曲芸師、奇術師たちである。これまでなら玄人好みに過ぎ、一般受けしないと考えられた試みであったが、シルクの初公演(に限らず、以降の演目全てについて言えるが)を見る幸運に恵まれた観客たちはみな、そんな心配は杞憂にすぎなかったと知ることになる。
「創設者」ギ・ラリベルテと演出家フランコ・ドラゴーヌを擁するシルクのクリエイティブ・ブレーンは作品ごとに従来の枠にとらわれない一大パフォーマンスを創造し、その柱となるのは繰り返し登場するキャラクターたち、統一されたプロダクション・デザイン、内に込められたテーマである。活人画を思わせるうっとりするシーンや目を見張る奇術はそのままに、ショーからは社会、和、美、感情といったものに対する視点までもがうかがわれ、全体をピリリと引き締めている(時にいずまいを正したくなるほどだ)。とはいえ、そのような意図的なテーマがなくとも、シルクの真の芸術性がいささかも色褪せるものではない。
「キダム」の主人公はどこにでもいる子どもである。自分たちのことしか頭にない(まさにそのもの)両親と暮らしているが、たちまち不思議な世界へといざなわれ…そこはシルクの素晴らしきアクロバット師、アーティストたちが文字通り「飛び立つ」ところ。使われる道具はしばしば何の変哲もないものばかりで、巨大な吊り輪であったり、人ひとりが入れる大きさの車輪であったり、スケートボードであったり、ロープであったり。しかし、生み出される世界は絶品と言うほかない。舞台にさらなるドラマとムードを吹き込むのはやはりベノワ・ジュトラによる音楽。シルクの「演技」が“Barnum & Bailey:バーナム・アンド・ベイリー(注:19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したサーカス団)”のそれとかけ離れているのと同じく、その音楽も伝統的なサーカス音楽とは全く趣きを異にする。シンセサイザー、エレキギター、ソロ・リード楽器にパーカッション、そしてヴォーカル(未だなじまぬエスペラント語めいた歌詞にじれったさを感じることもしばしば)によるシルクの音楽はショーと共にあって初めて本領を発揮するのであり、でなければニューエイジミュージックとして片付けられてしまうこともあろう。
これまでのビデオ作品3本同様、本作も生の舞台で味わえる魅力をあますところなく伝えている、とは言いがたい。しかし、シルク・ド・ソレイユならではのパフォーマンス芸術を愛するファンにとって、シルクの魔力に酔うには十分な作品である。(Sam Sutherland, Amazon.com)
他のシルク・ドゥ・ソレイユのプログラムに比べると演劇性の高い構成なので幼い子供なら最初はとまどうかもしれない。しかし彼らの演技が始まってしまえばやっぱりシルク、もう目が離せません。
最後のBanquineでは自然に涙が出てしまいました。出ている人々全てが美しいです。見ないと人生の損であると断言しましょう。
日本ではサルティンバンコやアレグリア、ラスベガスに行かれた方にはMystereや"O"でお馴染みのCirque Du Soleilの移動公演;Quidam(キダム)の模様を収録したDVDです。
すでにアメリカやカナダ、欧州で公演され絶賛を受けているショーで、2003年2月から12月にかけて日本での公演も決まっています。
オリジナルの曲を生演奏で演技にあわせて演奏するCirque Du Soleil特有のスタイルは「生」には及びませんが、ビデオ、DVDを通してもそのすばらしさが十分に伝わってくると思います。
演目はジャーマンホイールやスキッピングロープ、ハンドバランシング等多岐に渡りますが、どれも世界でも一流の技をご覧頂けることでしょう。
特筆すべきはラストの演目であり、このショーの見所中の見所;バンキンでしょう。その「人間はここまで出来るのだ」と感じ入らせてくれる演技は言い表しきれない感動をもたらしてくれます。
バンキンはモンテカルロでのサーカスの国際大会において金賞を受賞した演目でもあり、個人的には今までに見たサーカスのどの演目よりも飛び抜けて素晴らしく、これだけのためにこのショーを見に行っても良いと思えるほどです。
Cirque Du Soleilをお好きな方には特におすすめの作品です。