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黒沢明の生きものの記録の英語字幕版 I Live in Fear [VHS] [Import] Toshirô Mifune
この映画の作られる前年に、日本のマグロ漁船、第五福竜丸がアメリカの水爆実験により被曝し、船員が死亡いたしました。黒沢はこの事件を契機に本作品を作成しました。映画の中では、漁船の網を楽しげに引っ張る主人公の家族の写真が見せられ、前年までは、この映画の主人公も核の恐怖を感じずに生活していたことが伺われます。このシーンで福竜丸事件が、主人公の核に対する恐怖の契機であることが納得できます。広島・長崎原爆の10年後に作られた映画ですが、映画の中で、繰り返し、“水爆”という言葉が使われていることも注目に値します。事件から半世紀以上が過ぎ、核の恐怖は日本人には感じられなくなってきたかもしれませんが、核保有国は現在も増えております。人は、恐怖をあおりたてられると、それを回避・防止する行動にかられます。それは狂牛病や鳥インフルエンザにどれだけ莫大の研究費が使われているかで明らかです。唯一の被爆国に住む日本人すら核兵器の恐怖を恐怖と感じられない現在ですが、反核運動が盛り上がり、核の恐怖が教育されるのを恐れているのは、核の保有国です。この映画もアメリカでは長年上映されませんでした。黒沢のメッセージを正しく伝えていくために、福竜丸事件の背景説明などがDVDの特典映像に欲しい所ですが、近年アメリカで発売されたDVDには英語の字幕があるのみでした。この映画では、核の恐怖に沈黙する(慣れようとする)小市民が批判的に描かれていますが、黒沢明は、そういった市民とは一線を画する勇気ある映画人であったことがわかります。
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